【ネタバレあり】『愛しい嘘』林遣都の“中野くん”は記憶に刻まれる　賛否両論の結末に

　しかし、いつ登場するかハラハラと見守っていた正（徳重聡）が優美の復讐と称して中野を刃物で刺す。そこから数年が経過し、生まれてきた我が子と過ごす望緒の姿が。娘の名前は幸（みゆき）。その名前がつけられたということは、父親である中野はもうこの世にいないのだろう。ずっと不遇な人生を歩んできた中野がようやく幸せを手にすることができると思ってからの、このラストはあまりにも救いがない。

　ただ彼はかつて静かに両親の跡を追って命を絶とうとし、さらには自分の人生を簡単に捨てて他人に成りすますことを決めた。でも最期は“雨宮秀一”としてではなく、“中野幸”として望緒たちの記憶に刻まれ、生きた証を残すこともできたという観点では単純にバッドエンドとは言えないのかもしれない。

　最終回後は“雨宮くん”ではなく、“中野くん”というワードがTwitterにトレンド入りを果たしていたように、ドラマを超えて林遣都が演じた中野幸という登場人物は多くの人に愛された。でも、だからこそ、望緒がラストですれ違った中学生たちのように、みんなの輪の中で笑う中野くんが見たかったと思わずにいられない。そんな余韻に浸る私たちに、「記憶に残らないのは嫌だからね」と悪戯っぽく笑う彼の姿が見えた気がした。

■放送情報
『愛しい嘘～優しい闇～』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜0:15放送
出演：波瑠、林遣都、溝端淳平、本仮屋ユイカ、黒川智花、松村沙友理、新川優愛、徳重聡
原作：愛本みずほ『愛しい噓 優しい闇』
脚本：丑尾健太郎ほか
プロデューサー ：大江達樹（テレビ朝日）、中込卓也（テレビ朝日）、山本喜彦（MMJ）、小路美智子（MMJ）
演出：樹下直美ほか
音楽：横山克
制作：テレビ朝日
(c)テレビ朝日