そんなすみれの腕を掴み「出ていけ！」と声を上げたのは五十嵐（本郷奏多）だった。彼はテレビ時代劇とはなんたるかを語り始める。「毎回毎回同じような展開、同じセットで、同じ場所で、同じことが起きて、同じクライマックスを迎えて、大立ち回りで拍手喝采。それを速く、安く撮るから会社は儲かる。そういうカラクリなんだよ」ーー確かに、五十嵐の言う通りかもしれない。それでも、ひなたはそんなテレビ時代劇に夢中になってきた。ひなたのマニアックな一言が端を発し、気がつけば、ひなたと五十嵐の時代劇愛に花が咲く展開に。セリフはもちろん、ト書きまで暗記している五十嵐とひなた。即興の再現演技だ。その2人の掛け合いはまさに息ぴったし。がっちりと手を取り合うところで轟の止めが入り、ひなたと五十嵐は我に返る。

　結局2人揃ってスタジオから追い出され、口喧嘩している途中で五十嵐が床で寝てしまうというアニメのようなラスト。「このままでは時代劇は滅び去る」と虚無蔵（松重豊）が感じていた危機を救うのは、時代劇愛に満ちたひなた、そして五十嵐……なのかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演：上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本：藤本有紀
制作統括：堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽：金子隆博
主題歌：AI「アルデバラン」
プロデューサー：葛西勇也・橋本果奈
演出：安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか　
写真提供＝NHK