佐藤健「皆様の支えがあってなんとかできた」 毎日映画コンクール男優主演賞に喜び
第76回毎日映画コンクール表彰式が2月15日、東京・めぐろパーシモンホールで開催された。
TSUTAYA映画ファン賞・日本映画部門を受賞した『るろうに剣心 最終章 The Final』で主演を務めた佐藤健は、「ファンの皆様への感謝を胸に今後も作品を続けていきたい」と述べた大友啓史監督と握手を交わし、「我々が頑張ったあの日々が報われましたね。皆様の愛を感じました」と笑顔。同作では華麗なアクションを披露しており、「間違いなく僕は世界一優秀なアクションチームだと思ってる。みんなとアイデアを出しながら一緒に作っていく過程が面白かった」と振り返った。
また佐藤は、個人として『護られなかった者たちへ』で男優主演賞を受賞。「あらためて素晴らしい映画に携わらせてもらったという思いですね」とし、「声をかけてくださったことに感謝したいですし、現場でも本当に自分自身の力はちっぽけなもので。皆様の支えがあってなんとかできたので、みなさんに感謝したいです」と思いを込めた。
アクション作品から社会派作品への切り替えについては、「自分で何かすごく頑張ったというよりは、空気に身を委ねた感覚に近いですね」と佐藤。「全編宮城県で撮影させていただいて、2カ月ほどいた中で空気を感じながら。あとは震災当時を再現してくださっていたので、美術の力も借りて、身を任せて撮影していた感じです」と述懐する。
一方で、コロナ禍の撮影ということもあり共演者やスタッフとコミュニケーションを取る機会が少なかったといい、「阿部(寛)さんとの共演もすごく楽しみにしてたんですけど、ほぼほぼ挨拶くらいしか話す機会がなくて。お互いの役柄がそういった関係性だったこともありますけど、本当はもっと話したかったなぁって」と本音をこぼして笑わせた。
『茜色に焼かれる』で女優主演賞を受賞した尾野真千子は「女優をやっていると、孤独を感じることもありまして。でも、私はひとりで頑張っているんじゃない、みんなでやっているんだって、すごく思えた作品でした」としみじみ語り、「今、みんなと飲みたいです。こんなに嬉しいことはありません」と頬を緩めた。
同じく『茜色に焼かれる』からは、スポニチグランプリ新人賞を和田庵と片山友希が揃って受賞。片山は撮影中に自分の芝居に不甲斐なさを感じることが多かったといい、「尾野さんが、何も言わずにただ待っていてくださったのが本当にありがたかった。この賞を受賞できたのも尾野さんのおかげだと思っています」とにっこり。尾野は「お芝居って、感じて生まれてくるものなので。監督も待つ方ですし、私なんかが言ってもしょうがないので」とユーモアを交えつつ、「みんなで生まれてくるものを待っていた感じでしたかね」と目を細めた。
本作で尾野の息子役を演じた和田は「石井(裕也)監督のリアルな世界観に、尾野さんと片山さんという素晴らしい女優さんの演技に引き上げられて受賞させていただけたので、本当にありがたい気持ちと嬉しい気持ちでいっぱいです」と感慨深げ。尾野は、2人の新人賞受賞に「すごいなと思って。嬉しいですよね、素晴らしい!」と喜びを爆発させた。
また『護られなかった者たちへ』で女優助演賞を受賞した清原果耶は「人間の多面性が色濃く描かれたキャラクターだったので、優しさと狂気みたいな二面を綿密に考えながら現場で作っていました」と瀬々敬久との役作りを回顧。セリフ覚えに苦労することはなかったものの、「そうそうたるキャストの方たちの中でお芝居をしなきゃいけない日々だったので、毎日現場に行くたびに緊張していました」とほほえんだ。
『すばらしき世界』で男優助演賞を受賞した仲野太賀は、ビデオを通じて「最高のスタッフと素晴らしいキャストの方々に支えられて今日という日がある」と感謝し、「一つ一つの作品を大事にしながら、この先も俳優として精進していきたい」とメッセージ。代理として登壇した西川美和監督は「助演という言葉がぴったりの俳優。スタッフと俳優の距離を縮めてくれる」と仲野の人柄を絶賛し、本人の出番がない日にも現場に足を運び、役所広司の芝居をじっと見つめて「自分の出番の肥やしにしていた」と裏話を明かした。
日本映画優秀賞を受賞した『すばらしき世界』からは、西川監督のほか17名のスタッフが登壇。西川監督は「こうやっていい賞をいただいて現場に呼ばれることもあるんですけど、いつも“自分一人で作ったわけではないのにな”と思っていました。一緒に作った人と賞をいただくことを喜べるのは、こんなにいいものなんだなって今日は喜びを噛み締めています」と充実の表情を浮かべていた。