『カムカム』松重豊×川栄李奈×本郷奏多の“好き”のぶつかり合い “救世主”平埜生成にも注目

 ミス条映コンテストが不合格に終わり、どこか張り合いのない日常に戻ったひなた(川栄李奈)。「大好きやからです。時代劇も、映画村も」。そんな真っ直ぐな思いが自分の運命を変えようとしていることも知らずに。

 「好き!」という感情はシンプルだけど、強い。人を動かす原動力となり、それが予期せぬ出会いに繋がることも。『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第75話では、「時代劇が好き」という共通点が3人の男女を結びつけていく。

 突然現れた着流し姿で時代劇ことばを話す男(松重豊)に言われるがまま、映画村に行こうとするひなたを必死で止めるるい(深津絵里)。この時点ではどちらも彼が“条映の秘蔵っ子”と言われていた大部屋俳優・伴虚無蔵とは気づいていないのだから無理もないが、「何か、虚無僧みたいな名前」「映画村の人かて、一歩外でたら今の人でしょ。普通」というやり取りに笑ってしまう。

 同時になぜか既視感を覚えて考え込む2人。ふと目にやったお店に貼ってあった棗黍之丞シリーズ『妖術七変化』のポスターで、ようやく男の正体に気づいた。自分に声をかけてくれた人が大好きな作品の出演者であることを知り、ひなたは慌てて約束の場所に駆けつける。

 すると、「大儀であった。まずは茶を一腹進ぜよう」とひなたを条映の休憩所に連れていく虚無蔵。大部屋俳優の自分を“名もなき有象無象”と説明し、人気芸人「すゑひろがりず」の狂言風コントではないが、侍風のままマイペースに会話を進める。しかし、流石は小さい頃から時代劇の“英才教育”を受けてきたひなた。「寺子屋(=学校)」「御前芸比べ(=コンテスト)といったように現代の言葉に変換しながら話に耳を傾けていると、唐突に虚無蔵から休みの間、映画村で働かないかと誘われた。全盛期が過ぎ去り、衰退の一途を辿りつつある時代劇の未来を若者のひなたに託そうというのだ。

「拙者はそなたに時代劇を救ってほしいのだ」

 そもそもひなたは誰かに守られる“お姫様”ではなく、悪者から人々を救い出す“侍”のようになりたいと常々思っていた。そんな彼女にとってこれ以上の申し出はないはずだったが、あまりにも壮大な任務に怖気づいてそそくさと逃げ去ってしまう。

 そこに現れたのが、あの無愛想な男(本郷奏多)だ。何の因果か、またもや出会ってしまった2人は一触即発。ひなたは時代劇への愛を否定され、思わず男を「どうせ大部屋なんでしょ。有象無象の1人なんでしょ」と覚えたての知識で煽った。その言葉に反応した男は、自身を五十嵐と名乗る。

「嵐は嵐寛寿郎の嵐。つまり、アラカンの五十倍だ。俺は超える。アラカンもモモケンも」
「私は大月ひなたや。侍への時代劇への愛は誰にも負けへん!」

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