『ドクターホワイト』高橋文哉が若手医師の成長を体現 白夜は悲しみの意味を知る

 記憶をなくした雪村白夜(浜辺美波)が、患者と向き合う中で感情を取り戻していく『ドクターホワイト』(カンテレ・フジテレビ系)。第4話で白夜が学んだ感情は“悲しみ”だった。

 CDTのメンバーで研修医の佐久間新平(高橋文哉)は、外科部長の真壁(小手伸也)の元で研修することに。入院患者の鳥羽泰三(橋爪淳)は佐久間の高校時代の恩師で、佐久間が医師を目指すきっかけとなった人物だった。鳥羽は肝臓血管腫と診断される。手術を行おうとする真壁に対して、白夜は、鳥羽は悪性の腫瘍でより精密な検査が必要であると進言。手術は成功したかに見えたが、白夜は鳥羽の異変に気付く。結果は根治の難しい多発転移で、余命は数カ月。高校教師で合唱コンクールの指導を心の支えにしていた鳥羽は、積極的な延命治療ではなく緩和ケアを選ぶ。

 「命は守るものと聞きましたが、医療には限界があります」。何もできないと落ち込む佐久間に白夜が返した言葉だ。人間的な感情が抜け落ちている白夜なので、一見すると、生き死にに対しても淡々としているように見える。客観的に救えるかどうかだけで考えれば、白夜の言うことはもっともなのだが、大切な人を守りたい佐久間には、その言葉は冷たく響いた。

 研修医の佐久間は、これまでの回では、ネアカで人のよい、愛されキャラの青年として描かれてきた。第4話では、佐久間のこれまで見せなかった「命を救う医師」としての資質が前面に押し出された。「指導者として最後まで燃え尽きたい」と語る鳥羽の本心は生きること。本人の意向を尊重して治療を中止する真壁たちに抗うように、佐久間は文献を読みあさる。その表情からは笑みが消え、恩師を救いたい一心で治療法を探る。その様子を見て、佐久間の取り組みを支持する白夜とCDTのメンバーたち。

 天才医師の活躍や病院内の権力闘争などの要素も含む医療ドラマで、生命の尊厳が正面から取り組むべき主題であることは多言を要しない。どんな作品も命の尊さに関するなんらかのメッセージが込められており、それがなければ画竜点睛を欠く。演じる側も、極限状態で湧き上がる感情や心境の変化を全身で表現し、演者にとって内面の深化が求められる。

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