『カムカム』第14週はまるで“第1週”? ひなたからるいへ送られた言葉の意図

 愛おしい家族たちの日常という点で、第1週とも重なる点が多かった第14週。「天真爛漫なヒロインの子役時代」「愛すべき家族たち」という点は第1週との共通点であり、かつ王道朝ドラの第1週の構造である。しかし、本作がそれらとは違うのは100年の時代を描く3世代の物語であるということ。

 それが象徴的に表れていたのが、終戦記念日のるいの顔を捉えた長いカット。このカットによって、第14週の主役はひなたであり、るいであることが伝わるものとなっている。黙祷するるいの脳裏に浮かんでいたであろう、母・安子のこと、錠一郎との出会いなど、本作を観続けてきた視聴者ほど、彼女の思いが伝わってきたのではないだろうか。

 そして、第14週の最後となる第67話では、るいのトラウマを浄化するようなひなたからの何気ない、「旗本退屈男みたいでかっこええな」という一言があった。子供から言われた何気ない言葉が、親にとっては一生の宝物になる、ということは子を持つ親なら経験したことがある人は少なくないはず。そんな日常に寄り添うように、このシーンを決して劇的には描かず、あくまで大月家の日常に落とし込むところに、本作の誠実さが表れていたように思う。

 観ているだけで心がほっこりするような気持ちになった第14週。次週は成長したひなたとして、三代目ヒロインとなる川栄李奈が登場する。100年の物語がひなたにわたり、新たにどう変化していくだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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