『もしイケ』藤枝喜輝が体現した“イケメン”の苦悩 隙があってこそ人は魅力的?

 「人は、欠点で愛される」とは、よく聞く言葉だ。たしかに、完璧な人の“隙”を見つけるとホッとする瞬間がある。その人のなかにある人間味を感じるからだろうか。反対に、欠点がない人には近寄りがたかったりする。1月29日放送の『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日系)第3話で描かれたのは、完璧を追い求めるがゆえに苦悩するイケメンの姿。また一歩、本作が掲げるテーマ“真のイケメンとは何か?”の答えに近づいた気がする。

 スポットが当たったのは、選抜イケメン候補の宇治原修(藤枝喜輝)だ。彼は動画配信で人気を集めており、イケメン大会選抜入りは確実と言われていた。しかし、実はボロアパートに住む超貧乏人だという秘密を抱えていて……。選抜イケメン大会のコーチ・風間勇気(速水もこみち)が撮影した宇治原の本来の姿がネット上に出回ると、たちまち大炎上。「裏切られた」「貧乏なイケメンなんて」とアンチコメントが殺到してしまう。

 「イケメンに、貧乏は似合わない」という固定概念。“無駄にイケメン”という言葉も、イケメンに対する身勝手な先入観から生まれたものだろう。校長の海老名晴子(秋山菜津子)は、「イケメンは、完璧であるべきです!」と宣言していたが、個人的には“隙”がある人の方が魅力的に映る。学年一の美少女・桜井カンナ(遠藤さくら)が、冴えない池田龍馬(細田佳央太)に興味を持ったのも、彼に“隙”を感じたからではないだろうか。

 「イケメンは好感度が高い一方で、落ち度があるとすぐに“イケメンのくせに”と言われる」ーー。風間は、今回もイケメンに生まれたがゆえの葛藤を語っていた。もしかしたら、宇治原の本来の姿を撮影したのは、若いうちに失敗をさせたかったからかもしれない。自分は、ただ完璧を追い求めるだけの面白みのない人生を歩んできてしまった。だからこそ、後輩には“隙”から生まれるゆとりを持ってほしい、と。もちろん、盗撮をするなど完全にタブーなことである。しかし、生徒をおとしめるためだけにした行動だとは信じがたい。

 美南学園に通うイケメンたちには、とにかく“隙”がないのだ。彼らは、完璧なイケメンでいるための努力をしている。普通の人が眠っている時間に起きて、入念なスキンケアや運動をして……。たしかに、その姿はキラキラと輝いて見える。だが、カンナが言った「みんな、マネキンみたいでつまらない」というのも一理ある。龍馬のように、少しマヌケな部分がある人の方が、“もっと知りたい”と思わせる力があるのだ。

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