『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』ゲーム要素満載の聖地ツアー的魅力

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、子供の頃プレイした『バイオハザード』のリメイク版で、廊下の両サイドからクリムゾンヘッドに迫られたことがトラウマのアナイスが『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』をプッシュします。

『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』

 2016年の12月、寒空の下、朝から新宿のTOHOシネマズに向かった日のことを私はよく覚えている。シリーズ完結作ということで、すぐに観るぞと息巻いていた『バイオハザード:ザ・ファイナル』。映画館を後にする頃の私は、あまりのやるせなさに靖国通りを渡ったところにある日高屋に突っ込んで行き、無心で朝一ビールと餃子の食券ボタンを押していた。あれから、6年。ついに“待望の”完全新作映画、『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』が公開された。

 やはり多くの人が気になるのは、ポール・W・S・アンダーソン監督の手がけた前シリーズに比べ、どれだけ本作が“バイオハザードをやっているか”ではないだろうか。その点で言うと、本作は逆に最初から最後まで全部“バイオハザード”だ。特に原作ゲームファンにとっては遊園地のような楽しささえ味わえる。まさに「ラクーンシティへ、ようこそ!」って感じ。ラクーンシティ警察署やスペンサー邸はもちろん、他にもあらゆるバイオのランドマークをアイコニックなキャラクターが歩き回る様子は、もはや聖地ツアーの感覚に近い。

 本作の監督であり、『海底47m』シリーズでも名高いヨハネス・ロバーツが「ファンが観たら、ゲームの中にいるみたいだと驚くはずだ」と公式コメント映像にて語っていたのを、「またまたぁ」なんて受け流していたが、もう本当にその通りすぎて逆に冷や汗さえかいてしまった。どうやらカプコンから設計図が提供されたらしく、それを基に作られたセットの見栄えは本当に素晴らしい。もはや、「どれだけ上映時間の中でイースターエッグを見つけられるか」みたいな意気込みさえ出てくる。常にスクリーンに映る情報量の多いシーンは隅々まで見たくなるので、忙しない。あまりネタバレはしないでおくが、我らが必須アイテム・グリーンハーブは登場する。なお、私はスペンサー邸のシーンでひたすらインクリボンを探したけど見つけられず、もしかしたらないのかもしれないけど見つけた人がいたら是非教えてほしい。

 そんなふうにアイテムはもちろん、ゲーム内の描写も様々なところで再現されている本作。個人的には、まさか大好きな「かゆうま」がスクリーンで観られるなんて思っていなかったので嬉しいサプライズではあったものの、贅沢を言えば日記に書かれているものを読みたかった。

関連記事