『その年、私たちは』犬と大量のナツメで演出される想い 新たに始まったウンとヨンスの恋

 さて、恋人に戻った気まずさが初々しさとなり、くすぐったい日々を送るウンとヨンス。離れていた月日を埋めるように愛するのではなく、29歳の2人が新しく恋を始める“ビギン アゲン”だ。小言を言うことも嬉しくて仕方ないヨンスは可愛くてたまらないし、ウンの愛し方は愛おしくていつまでも見守っていたくなる。孤独の中にいたウンに必要なのはたったひとり、ヨンスだけだった。それが描かれたのは、モノクロになった世界。ヨンスが隣にいない時間を過ごしてきた作業部屋で絵を描くウンが映し出されるが、そこにはずっとヨンスがいた。完璧な想像とは、どの瞬間にもウンの中にヨンスがいる世界のことではないだろうか。そして、ウンがヨンスを愛し、ヨンスがウンを愛してくれる世界は彩られていた。

 両思いになって、全てが上手くいくとは限らない。今まで何ともなかったことが急に不安になり、新たな問題にぶち当たることもあるだろう。もし、5年前と同じような場面に立たされても、違う選択をする2人であってほしい。ドキュメンタリー撮影の最後に出された「10年後はどうなってると思いますか」という質問の答えは映されていなかったが、10年後もこうやって『その年、私たちは』と語るウンとヨンスの未来を思い描いてしまうから。

■配信情報
『その年、私たちは』
Netflixにて独占配信中
(写真はSBS公式サイトより)

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