『カムカムエヴリバディ』るいとジョーが“共鳴”する 陰で動き出すトミーの思惑とは

 それほどまでに参加を拒む理由は何なのか。錠一郎の脳裏にはボロボロの服に身を纏い、食べ物に飢えて街を彷徨っていた幼い頃の自分が浮かんでいた。そんな錠一郎の未来を照らしてくれたのが、「On the Sunny Side of the Street」を高らかに奏でるトランペットの音色だ。あの日から、錠一郎はトランペットともに日向の道を歩んできた。

 「傷つきたくないんやと思う。あいつにはトランペットしかないから」。錠一郎の気持ちを汲んだ木暮(近藤芳正)はトミーにそう語る。もしコンテストに出て、審査員に容赦ない駄目出しをくらったら? それはもう彼にとって、人生を否定されるも同じだ。

 自分の中にある恐れを実感させられた錠一郎は、たまたまグラウンドで子供たちと野球していたるいの姿を見かける。思い出すのは、彼女が自分だけを見てくれていた頃の母親を必死で忘れようとしていたこと。自分と同じように傷つくことから目を逸らしながらも、名前の由来通り、日の当たる場所を探して歩くるいの笑顔が錠一郎の恐怖を取り除いていく。「アベック!」と子供たちにからかわれ、否定しつつぎこちなく微笑み合う二人。その心は、確かに“共鳴”していた。

 また、「Night and Day」でも違った形で“共鳴”しようとしている男女が。錠一郎の煮え切らない態度にやきもきさせられているトミーとベリーだ。何としてでも錠一郎をコンテストに出場させたいトミーは、何としてでも錠一郎を振り向かせたいベリーに「ジョーとデートさしたろか?」と持ちかける。普段からいがみ合っている相手に協力するとは、どういう風の吹き回しなのか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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