『カムカムエヴリバディ』るいとジョーが“共鳴”する 陰で動き出すトミーの思惑とは
『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第50話は、前話に引き続きラジオから流れる「ゴンドラの唄」とともに始まった。しかし、屋根裏部屋での一件で錠一郎(オダギリジョー)への恋心を自覚したるい(深津絵里)には、〈いのち短し恋せよおとめ〉という歌い出しも以前とはまるで違って聴こえる。一度相手を意識し始めたら、もう思いは溢れて止まらない。あとは心の赴くままに突き進むだけだ。
そのはずが、るいは自分の気持ちに蓋をしようとしていた。歯止めをかけるのは、彼女にとって悲しい記憶とリンクしている額の傷。母親に“捨てられた”記憶、初恋の相手に困惑の表情を浮かべられた記憶が蘇る。これ以上、大切な人に拒絶されて傷つくのが怖いのだろう。るいは錠一郎と顔を合わせないように、「Night and Day」の配達を平助(村田雄浩)に代わってもらった。
一方、錠一郎も心ここに在らずという状態で本調子が出ないでいた。あの日走り去ったるいのことを気にかけているのだろうが、それだけではない。関西一のジャズトランペッターを決める大手音楽事務所主催のコンテストが開催されることになったからだ。副賞は東京・銀座にある一流クラブでのステージ出演権とレコードデビュー。世間に名を知らしめるまたとない機会だ。
しかし、錠一郎は「あんまり興味ない」とコンテストへの参加を拒否。その勝ちに執着しない姿勢に彼をライバル視しているトミー(早乙女太一)は腹を立て、俺を見下しているのかと食ってかかる。すぐさま錠一郎は否定するが、参加したくない理由をうまく説明できない。さらには自分の気持ちに全力で寄り添ってくれようとしたベリー(市川実日子)のことも、ある意味拒絶とも取れる言葉で突き放してしまった。