『あなたの番です』がブームになった2つの要因 映画&SPドラマで考察熱が再来?

 日本中に考察ブームを巻き起こした『あなたの番です』(日本テレビ系/以下『あな番』)が、劇場版として帰ってくる。

 最終回の総合視聴率25%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)を記録した『あな番』は、年の差新婚夫婦が、マンションの住民会で行われた“交換殺人ゲーム”(※それぞれが殺したい人を紙に書き、それをランダムに引いていくもの)に巻き込まれていく物語。第1章では、「毎週、死にます。」というキャッチコピーの通り、ラストに必ず衝撃の事件が起きる。時に目を瞑りたくなる場面もあるが、一度観始めたら途中で離脱することはできない。『あな番』は、“リアタイしたい欲”をくすぐる作品だった。

 12月10日公開の映画『劇場版 あなたの番です』は、“交換殺人ゲーム”が始まらなかったパラレルワールドを描くらしい。つまり、菜奈ちゃん(原田知世)と翔太くん(田中圭)は、幸せなままというわけだ。だが、めでたしめでたし……で終わらせてくれないのが、『あな番』である。マンションの住人を招待した船上ウェディングパーティで、連続殺人事件が起きてしまうのだ。ドラマを通して、キウンクエ蔵前の住民たちの“ヤバさ”を認識している私たち視聴者からすれば、もどかしい展開だ。あんなに危険な人たちと、逃げ場のない船上でパーティを開催するなんて……。

 ドラマ版の『あな番』は、“まさか”の連続だった。ただテレビを観ているだけなのに、ジェットコースターに乗ったあとのような疲労感。とくに、第一章のラストで、菜奈が殺された時は、「やられた……」と感じた人も多いのではないだろうか。たしかに、事件の法則を見つけてしまった菜奈には、危険フラグが立っていた。しかし、まさか主人公が物語の途中で殺害されるとは。少なくとも、菜奈と翔太は最後まで殺されないだろうと高を括っていたのだ。もしかしたら、さらに予想外のことが起きるかもしれない……。そんな好奇心が、作品への集中力を上げていく。後半に近づくにつれ、視聴率が鰻上りになったのは、主人公の死が大きく影響していたのではないだろうか。「『あな番』、やばくない?」と周囲に語りたくなってしまう。語らざるをえないほどの衝撃を、毎回与えてくるのだ。

 日曜日の放送が終わると、その翌週まで『あな番』のことを考えてしまう。時間ができると、SNSで“あな番考察”と検索してみたりして。2019年の4月から9月にかけては、そんなルーティンを過ごした人もなかにはいるのではないだろうか?

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