映画俳優・奥野瑛太が『最愛』で知らしめる実力 2021年現在の梨央と政信の関係は?

 そんな奥野。どちらかといえば穏やかな登場人物の多い今作『最愛』において、彼が演じる真田政信は高圧的なキャラクターである。この政信は、主人公・梨央(吉高由里子)の実兄。両親の離婚が原因で幼い頃に離れ離れになり、父(光石研)の死をきっかけに、2人は再会することとなった。岐阜の田舎から東京へと出てくることを余儀なくされた梨央とは対照的で、何不自由なく育ってきたのであろう政信。奥野は限られたセリフと仕草によって、梨央との関係性、本作における政信の立ち位置までをも示している。

 本作は、梨央が上京してきた2006年と、彼女がとある殺人事件の重要参考人となっている2021年の物語が交差するかたちで展開していくものだ。15年もの時が経っているとはいえ、過去の梨央と現在の梨央とはまるで違う。政信が、孤独な少女が自立していくための一つのハードルともなったのは、第2話で描かれたとおり。梨央は自分のことを押さえつけてくる兄をやり込めることで、小さな自信を得たのだと思う。2021年現在の梨央と政信の関係、そして今後の作品における彼の立ち位置が気になるところだ。演じる奥野はどのような関わり方をしていくのだろう。

 さて、優れた俳優なのだと、知る人ぞ知る存在であった奥野。本作『最愛』で見せる姿は、今後ますます広く、彼の存在が世に浸透していくきっかけに繋がるのだろう。奥野瑛太を知るのは、いまからでも遅くない。ぜひとも知っておくべき俳優だと、ここで断言したいのだ。

■放送情報
金曜ドラマ『最愛』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉、奥野瑛太、岡山天音、薬師丸ひろ子(特別出演)、光石研、酒向芳、津田健次郎、及川光博、井浦新
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子
編成:中西真央、東仲恵吾
主題歌:宇多田ヒカル(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

■公開情報
『プリテンダーズ』
渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開中
監督・脚本・編集:熊坂出
出演:小野花梨、見上愛、古舘寛治、奥野瑛太、吉村界人、柳ゆり菜、佐藤玲、加藤諒、浅香航大、村上虹郎、津田寛治、渡辺哲、銀粉蝶ほか
制作プロダクション:テレビマンユニオン
配給・宣伝:gaie
配給協力:Mou Pro.
(c)2021「プリテンダーズ」製作委員会
公式サイト: pretenders-film.jp
公式Twitter:@pretenders_film

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