作間龍斗、「手に入らない」ミステリアスさを体現 『ひらいて』で照らした“たとえ”の影

 大きな瞳に高い鼻筋、前髪に隠れた表情にどこかミステリアスな影を感じるーーそんな西村たとえの存在は、映画『ひらいて』において極めて重要な意味を持つ。

 綿谷りさの同名小説を原作にした映画『ひらいて』が10月22日に公開された。本作は、明るくて成績優秀、クラスでも目立つタイプの高校生・木村愛が、寡黙でミステリアスなクラスメイト・西村たとえに恋をする様子を描く。

 新進気鋭の監督・首藤凜は、突き刺さるほどに真っ直ぐすぎる恋物語にまつわる繊細な感情を独特の温度感で紡ぐ。主演の木村愛役には山田杏奈が、たとえの秘密の恋人・新藤美雪役を芋生悠が演じるなど、実力派の若手女優が作品を牽引した。そんな中でひときわ目を引くのが、ふたりの女性から想いを寄せられるたとえを演じた作間龍斗の存在だろう。

 ジャニーズJr.内のアイドルグループHiHi Jetsの一員でもある作間は、本作が映画初出演。たとえという複雑で難解な役柄を丁寧に紐解いた芝居と堂々とした佇まいで『ひらいて』の中でも強い存在感を放つ。作間を語るにおいて言及したい点は、HiHi Jets自体がまだデビュー前のグループであり、アイドル活動をする中、個々が役者として際立つ個性を持っているところだ。

 HiHi Jetsには、NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』や『監察医 朝顔』(フジテレビ系)にも出演した井上瑞稀や、『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ系)、『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)などで活躍した高橋優斗もいる。それぞれが演技の面でも目を引く輝きを持っており、グループ活動にそのスキルを持ち帰ることでさらにグループとしての実力も高めているのだ。作間はHiHi Jetsの中では末っ子メンバーでもある。だが今回『ひらいて』では、末っ子とは思えない堂々とした芝居でたとえの役柄を切り拓き、さらにグループの強みを確固たるものにしただろう。

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