『ラジエーションハウスII』続編の始まりとして大正解に 窪田正孝の異色ぶりを実感

 2019年の4月期に放送された月9ドラマ『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(フジテレビ系)は、これまでほとんどの医療ドラマで注目されてこなかった放射線技師を主人公にした異色な医療ドラマである。前シーズンの最終話が終わり、「特別編」が放送される際に筆者は「今後続編や映画版が作られる可能性が〜」と期待を込めたが(参考:『ラジエーションハウス』、『HERO』鈴木雅之監督の手腕と個性の強い登場人物で新たな「月9」に)、その願い通り2年半ぶりに、劇中冒頭のセリフを借りれば2年と108日ぶり(前回の最終話放送の翌日から今回の放送前日までの日数)に、続編の『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)として帰ってきてくれた。

 アメリカに旅立つ唯織(窪田正孝)を見送った杏(本田翼)は、「優秀な放射線科医になってみせます」と約束をした。しかし唯織が去った後の甘春総合病院は経営体制が変わり、放射線科医の仕事だった読影は外部に委託。杏はもちろんのこと縮小となった“ラジエーションハウス”の面々は技師長の小野寺(遠藤憲一)と唯織の同期だった裕乃(広瀬アリス)、唯織と入れ替わりで加わった田中(八嶋智人)を残し、皆別々の病院に転職していた。ある時、小野寺の異変に気が付いた裕乃はかつての仲間たちに協力を求めるがうまくいかず。そんな折、ついに唯織が帰国し甘春総合病院に戻ってくるのである。

 “続編”というよりは近年のドラマの流れを汲んで“シーズン2”と表現した方が的確だろうか。一度はなればなれになった“ラジエーションハウス”チームの面々が、唯織の帰国をきっかけに再集結を果たすまでの一連を、小野寺の認知症疑惑や著名なバイオリニストの隠された病気を見つけるまでの流れとともに描いた10月4日放送の第1話は、“シーズン2”の始まりとしての正解にあふれていると見える。

 シーズン1の第1話で登場した世界的写真家の菊島(イッセー尾形)とその娘の由美(森カンナ)の再登場もしかり、放射線科医として各段に腕を上げた杏によるIVRもしかり。はたまた大森元院長(和久井映見)の巧みな話術、鏑木(浅野和之)のマスコミ対応など、ありとあらゆる方角から、前シーズンからの月日の経過による変化と、そのなかでも決して“変わらないもの”があることを提示していくのである。

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