10カ月前から配信されていることもあり、既に鑑賞済みの人も多いだろう。作品の出来自体は言わずもがなとして、これは劇場で観ることに大きな意味のある作品だ。しかも今回上映される劇場は、ヒューマントラストシネマ渋谷のodessa上映、シネマート新宿のブーストサウンド上映、チネチッタのLIVE ZOUND、立川シネマシティの極上音響上映など、音にこだわった上映を行っている映画館が並んでいる。

　筆者は試写が行われたヒューマントラストシネマ渋谷のodessaで鑑賞したが、爆音と静寂、想像以上の音のメリハリに心底驚いた。ついさっきまで普通に生活をしていたルーベンの耳が急に聞こえにくくなったように、これは誰しもに起こりうること。もし耳が聞こえなくなったらこんな感覚になるのかという疑似体験ができるつくりになっている。そしてラスト、ルーベンが達したある境地には、普段何気なく日々を過ごしている我々に、新たな気づきを与えてくれるのだ。

　まさに映画館で観るに相応しい作品。10月1日からは映画館のレイトショー上映も一部復活するので、ぜひ劇場に足を運んでほしい。劇場ごとの音の違いを楽しむのも面白いかもしれない。

■公開情報
『サウンド・オブ・メタル ～聞こえるということ～』
ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開中
監督・脚本：ダリウス・マーダー
出演：リズ・アーメッド、オリヴィア・クック、ポール・レイシー、マチュー・アマルリック、ローレン・リドロフ
原案：デレク・シアンフランス
音楽：ニコラス・ベッカー、エイブラハム・マーダー
撮影：ダニエル・ブーケ
編集：ミッケル・E・G・ニルソン
配給：カルチャヴィル×Filmarks×GEM Partners
アメリカ／2019年／120分／原題：Sound Of Metal
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公式サイト：www.culture-ville.jp/soundofmetal