『青天を衝け』栄一が新政府に出仕 吉沢亮×大倉孝二×山崎育三郎がコントのような掛け合い
大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)第28回「篤太夫と八百万の神」で、栄一(吉沢亮)は明治新政府に出仕することとなる。
幕府を潰した新政府から届いた出仕を求める召喚状。徳川の直臣として栄一は、直接皇上に赴き断るつもりであった。しかし、伊藤博文(山崎育三郎)の言う通りに大隈重信(大倉孝二)は手強かった。出仕の命を拒む栄一だったが、大隈の弁舌で見事に口説き落とされるのであった。
大隈のその強烈なキャラは前回の五代友厚(ディーン・フジオカ)らとのラストシーンですでに色濃く打ち出されていたが、この第28回で本領発揮となる。最も印象的なのは、その口調だ。「フランスで四万両の利ば蓄えたぁ!?」は序章に過ぎず、「であ~る! あ~る! あ~る!」と語尾を連呼する驚きのセリフ。一見すると演出なのか……? と耳を疑うが、実際に大隈の口癖であった「~であるんである」を再現したものである。
さらには、「さもありなん! さもありなん! さもありなん!」と机を激しく叩く始末。短気でせっかちな大隈に、対抗するように栄一も「はぁ!?」と大声を張り上げる。顔下半分が伸びたこの吉沢亮の表情、どこかで見たことあるな……と思ったが、そう、「マイナビバイト」のCMのバイト探しサムライだ。そのくらいに、今回の『青天を衝け』はコントチックであった。
それは、コミカルな演技をさせれば右に出る者はいない、名バイブレイヤーの大倉孝二が先導していった世界観でもある。そこに大隈重信の妻である綾子(朝倉あき)と伊藤博文がしっかりと手綱を握る係にいる。
しかし、栄一が明治新政府に出仕する初日は、三条実美(金井勇太)、岩倉具視(山内圭哉)ら首脳部を相手にいきなりの批判から幕開け。新たに「改正掛」を設けるべきだと熱弁を振るうが、そこは大蔵省ではないというオチに、栄一、大隈、伊藤が「失礼しました!」とドタバタのコント劇で幕を閉じるのであった。
栄一があれだけ忌み嫌っていた薩摩となんだかんだで意気投合するのは、「新しか世ば作りたいと思うたことはなかか?」と大隈が同じ熱き志を胸に秘めていたからだ。それはかつて、薩摩名物の豚鍋を囲んだ西郷吉之助(博多華丸)も同じだった。胸がぐるぐるする日本を変えたいという思いに栄一は噓をつけなかったのだ。