“白塗り男”久遠と“内通者”片桐の関係は? 『ボイスII』最終回まで隠された謎を探る

 『ボイス』シリーズの魅力を考えると、タイムリミットがある緊張感とテンポの良さはもちろんのこと、コンプライアンスギリギリの各種の犯罪描写(原案の韓国版はもっと過激だが)や、犯罪者の家族が苦しんだ人生を訴えながら自爆したり、DV男被害者の女性たちが復讐する中で警察はDV男側を助けたり、“ゾンビ回”の救いのなさや、樋口の最愛の息子に焼印が押され、父は犯罪者だと洗脳する非情な展開など、現在の日本のドラマの中では珍しく、バッドエンドが多い攻めた内容となっている。人の怒りや悲しみ、絶望感をしっかりと味あわせてくれる。

 ただ、暗い気持ちになって心折れる内容でも、樋口のぶれない正義、橘ひかり(真木よう子)の聴覚という2つのテレビ的なエンターテインメントの楽しさがあることも大きい。単独行動が多かったり、橘室長がやけに現場に行きたがったり、前回では久遠の母親が寝ている部屋に容赦無く火をつけてしまう樋口の狂犬ぶりなど、笑っていいのか真面目なのか、その緊張と緩和のギャップもまた面白く引き込まれる。

 さて前回のラストは、久遠の自首という意外な展開に。最終回の予告を観る限り、逃亡したの後にタワーマンションに108個の爆弾を仕掛け、多くの人に爆破キーを委ね、一般人の正義を問う内容となりそうだ。ネットやマスコミに警察の不祥事を暴露し、一旦自首して逃亡することで警察の無能さを世間に知らしめ、久遠がカリスマ化している中で、爆破スイッチの民意に委ねる緻密な計算。普通のドラマなら一般人の良心で少しの爆破で終わりそうだが、『ボイス』は単純にはいかないので読めない。

 また、久遠は自分の死に場所を探しているようにしか思えず、樋口の記憶に自分を刻みたい承認欲求を感じる。一方、樋口は久遠を殺したいだろうが、それは相手の思う壺だし、石川にも必ず捕まえて欲しいと言われているので、最後の選択は久遠を殺さずに逮捕を選ぶのだろうか。そこで気になるのが片桐。ここまで崇拝していた久遠がもし弱みを見せ失望させたら、2人のどちらかに片桐がとどめを刺す可能性も十分にある。また、相棒なき今、樋口が頼れる存在が橘だからこそ、樋口をどん底に落とすために、最後に橘を狙う可能性も十分にある。韓国版はシーズン3に繋がるが、日本版は次回で全てに決着がつくのか。

■放送情報
『ボイスII 110緊急指令室』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:唐沢寿明、真木よう子、増田貴久、宮本茉由、中川大輔、藤間爽子
原作: Based on the series “Voice”,produced and distributed
by Studio Dragon Corporation and CJ ENM Co., Ltd,and written by Jinwon Ma.
脚本:浜田秀哉
音楽:ゲイリー芦屋
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、能勢荘志、戸倉亮爾 (日テレアックスオン)
演出:大谷太郎、久保田充、西村了(日テレアックスオン)、茂山佳則(日テレアックスオン)
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/voice2/
公式Twitter:@voice_ntv
公式Instagram:@voice.ntv

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