“白塗り男”久遠と“内通者”片桐の関係は? 『ボイスII』最終回まで隠された謎を探る

 唐沢寿明主演の日本テレビ系連続ドラマ『ボイスII 110緊急指令室』が、ついに最終回を迎える。“白塗り男”こと久遠京介(安藤政信)の過去も分かり、樋口彰吾(唐沢寿明)にどんな選択を迫るのか。最終回を前にまだ明かされていない謎や、シリーズの魅力を改めて掘り下げてみたい。

 久遠が樋口にこだわる理由は、25年前に少年虐待の容疑で樋口に母親を逮捕されたこと。虐待をされながらも母親・由紀子(智順)を溺愛していた久遠は、その時に救助した樋口に対して親子の絆を断ち切ったことを恨み、「お前は俺から大事なモノを奪っていった! 今度は俺が奪ってやる!」と一連の事件を起こし、樋口の復讐心に火をつけようとする。しかしそこまで樋口の心に火をつけ、拳銃の引き金を引かせたい理由は何か。行き過ぎた正義が新たな犯罪を生み出すことを問うシーズン2だが、樋口の正義の結果、久遠という凶悪犯罪者が生まれた。久遠は樋口のことを真の「父親」だと言う理由がそこにあるのかも知れない。

 第9話では久遠と母親・由紀子の壮絶な過去が判明。39年前、由紀子が学生時代に、叔母が経営する塾に通っていた生徒たちに性的暴行を受け、17歳の時にできた子供が久遠。久遠が殺した5人はその時の暴行した生徒たちで、同級生だった本部長・小野田(大河内浩)はその時に見張り役をやらされていたために、ずっと久遠に脅されていた。

 有名な舞踊の名家の娘だった由紀子は、その出産を原因に家を追い出され、生活は荒れ、久遠を溺愛しながらも顔を見ると事件を思い出し憎むようになる。やがて、虐待を繰り返し、警察に捕まり、精神病院に。焼き印や白塗り、“スマイル”も母親譲りで、久遠を白塗りの男へと変貌させたのは、母親への激しい愛情と憎悪だった。壮絶な人生を歩み、一線を超えた久遠に対し、樋口は妻を撲殺され(シーズン1)、息子は洗脳され、相棒は射殺される(まだ生きてる可能性も?)という深い悲しみを背負うも、一線を超えず正義を貫く。そんな樋口に久遠は苛立ちと嫉妬から執着するようになったのか。最後に残った謎は樋口に対する久遠の本心ではないだろうか。

 また、内通者である捜査一課の片桐(中川大輔)。母を暴行した5人の中の1人、的場の息子が片桐で、DVなどで父親を恨んでいたこともあり、久遠と結託する。ここで1つ重要なのは、5人の中に久遠の父親がいることで、片桐と異母兄弟の可能性も十分あり、片桐が心酔するのも理解できる。そして、ドラマの初回で“白塗り男”に殺害された5人の中の1人の刈谷。彼の死体からはカッターナイフが咽頭部で発見されるなど、口封じの隠喩的とも感じ、特別な殺害方法であるところからも、久遠の父親説も浮上している。

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