『おかえりモネ』試験合格を喜ぶ百音、能を舞うサヤカ 近づく登米からの旅立ち

 科学で未来を予測する気象に魅了され、3度目の気象予報士試験に挑んだ百音(清原果耶)。同じ頃、サヤカ(夏木マリ)が愛する樹齢300年のヒバの伐採の日が迫っていた。NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』が第9週初日を迎え、気象会社に心を引かれる百音の元に試験結果が届く。

 3度目の気象予報士試験を終え、いつもの生活に戻っていた百音だが、その心はどうしても気象会社に引きつけられてしまう。百音が気象会社の採用情報を見ていたとはつゆ知らず、佐々木(浜野謙太)は登米能のお囃子隊に百音を誘う。佐々木は、百音がお囃子で入れば、次の定例会で仕舞を舞うサヤカが喜ぶのでは、と考えていた。次の定例会が4月と聞いた百音は言葉を濁す。佐々木はサヤカにも直接提案するが、サヤカは「この子はまだ駄目なんじゃないかしらね」「楽器はトラウマみだいだよ」と明るく笑い、断った。思えばサヤカは、百音が試験に合格した後どうするかを気にしていた。菅波(坂口健太郎)はサヤカにそのことを問われた時、百音から聞いた心の内を公言しなかったが、サヤカは百音が「気象の仕事をやってみたい」と菅波に打ち明けるのをひそかに聞いている。佐々木の提案に同意しなかったのは、百音が口にしていない思いを配慮してのことかもしれない。

 2016年(平成28年)3月、百音の元に合否通知が届く。一人で結果を見るのが怖い百音はサヤカを探すが見当たらない。百音は菅波と一緒に合否通知を見ることになった。二人の目に写ったのは「合格」の文字。素直な笑顔で喜ぶ百音と辿々しく喜びを分かち合う菅波の姿が微笑ましい。菅波は「早くサヤカさんにも教えてあげましょう」と百音を送り出した。一人、診療所に戻った菅波は喜びのあまり机の上のものをひっくり返してしまうが、「やった!」と心の底から嬉しそうな笑顔を見せていた。その菅波らしい喜び方はネット上でも話題になっている。

 合格したことを伝えるためにサヤカを探す百音だが、サヤカは百音のいない場所で能を舞っていた。第9週のタイトルは「雨のち旅立ち」。気象予報士試験に合格したことで、百音の登米からの旅立ちが近づいている。サヤカはそのことに気付いているはずだ。百音がお囃子隊に入るのを断ったのも、百音のいない場所で能を舞うのも、百音の思いに気付いているからこそのように見える。だが、きっと、百音の口から決意が発せられなければサヤカは納得しない。百音は試験の合格と自身の思いを伝えることができるのだろうか。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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