石井杏奈がドラマに“引っ張りだこ”　『シェフは名探偵』でコメディエンヌの才を発揮

　中川大志とW主演を務めた映画『砕け散るところを見せてあげる』は作品のカテゴリー分けをするのも難しいような衝撃作だったが、その中で学年一の嫌われ者のいじめられっ子役を熱演。ともすれば荒唐無稽にもなりかねないストーリー内で、彼女はキャラクターとして淡々と日々の営みを続け、どんどんストーリーに現実味を帯びさせてくれる。一見したところ突拍子もない人物像ながら、その中にある誰しもが共感できるような部分を徐々に徐々に解放して見せてくれた。

　同じく彼女の主演作『記憶の技法』では、失くした記憶のピースを必死に手繰り寄せようとする女子高生役を好演。多感な時期にアイデンティティーを追い求め繊細ながらも強くあろうとする主人公という難役を、地に足のついたものとして演じ切っていた。どこかに闇を抱えている役どころを演じることが多いのに、彼女のお芝居には全く“わざとらしさ”がない。どんなに“異端”に思える存在でも、地続きに見せられる。

　本作での金子役でも、俳句にしても突如繰り出されるワーディングセンスにしてもそうだが、琴線やツボがどこにあるかわからない、一見したところ“普通”っぽく“まとも”っぽいながら、急にスイッチが入る掴みどころのない彼女の魅力を実に自然に演じている。

　7月からの新ドラマ『イタイケに恋して』（読売テレビ・日本テレビ系）では、恋愛心理学を研究する大学院生兼恋愛について呟くSNSインフルエンサー役を担うようで、これまた違った彼女の表情が見られそうで今から楽しみだ。

■佳香（かこ）
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好き。Twitter

■放送情報
ドラマプレミア23『シェフは名探偵』
テレビ東京系にて、毎週月曜23:06〜放送
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信予定
出演：西島秀俊、濱田岳、神尾佑、石井杏奈、佐藤寛太、橋本マナミほか
第3話ゲスト：シルビア・グラブ、映美くらら、西原誠吾ほか
オープニングテーマ：all at once「マカロン」（Being）
エンディングテーマ：mihoro* 「ミヤコワスレ」（ビクターエンタテインメント）
原作：近藤史恵『タルト・タタンの夢』『ヴァン・ショーをあなたに』『マカロンはマカロン』（創元推理文庫刊）
監督：木村ひさし、瀧悠輔、向井澄
脚本：田中眞一、西条みつとし
音楽：末廣健一郎、田ノ岡三郎
チーフプロデューサー：阿部真士（テレビ東京）
プロデューサー：滝山直史（テレビ東京）、長谷川晴彦（KADOKAWA）、平体雄二（スタジオブルー）
制作：テレビ東京／スタジオブルー
製作著作：「シェフは名探偵」製作委員会
(c)「シェフは名探偵」製作委員会
公式サイト：https://www.tv-tokyo.co.jp/shefutan/
公式Twitter：@tx_shefutan