オダギリジョー、憧れの永瀬正敏との共演 「最高の答えを出したい気持ちが大きかった」
映画『名も無い日』の公開初日舞台挨拶が6月11日、東京・スペースFS汐留で行われ、永瀬正敏、オダギリジョー、金子ノブアキ、日比遊一監督が登壇した。
本作の監督であり、カメラマンでもある日比遊一に起きた実話を基に、愛知県名古屋市を舞台に描かれる3兄弟の物語。カメラマンとして海外で暮らし、突然の弟の訃報に名古屋へ戻る主人公・達也を永瀬、自ら破滅へ向かっていく生活を選んだ次男・章人をオダギリ、健気に兄達を支えてきた三男・隆史を金子が演じる。
撮影から3年の時を経て公開初日を迎え、永瀬は「あっという間だった気がしますし、心の中でいろいろとループしていますね」と感慨深げに挨拶。またコロナ禍での映画館閉鎖について触れ、「僕にとっては命のような場所なので、そこがクローズされるのはちょっと苦しかったけど、なんとかこの作品を全国で観てもらうことができた」と前を向いた。
一方、日比監督は「弟が死んで9年が経ち、構想・原案から6年が経ち、撮影から3年が経つ。ダメだなと思ったことは何度もあったけど、多くの人たちの支援で、私自身もはいつくばってここまでたどり着くことができました」と、心境を明かした。
映画は、日比監督の実家を使って撮影されたといい、永瀬は「場所から受け取ることもいっぱいあった」と述懐。そのような現場で行われた芝居を振り返り、「オダギリくんは、ビンビンこっちに何かが伝わってくるし、金子くんは、涙のシーンに心が震える感じがあって。監督も含めて、両サイドのおふたりに僕の役を作っていただいた」と感謝した。
オダギリも、「実際に章人さんが生活されていた空間だったので、軽い気持ちで入ることはできなかった」と話し、「この作品には監督の強い覚悟もありますし、すべて背負いたいというか、自分ができることを全身全霊かけてやらなければという強い気持ちはありました」と本作に込めた並々ならぬ思いを告白。「もしセットだったら、また違うスタンスをとったと思うので、ご実家で撮影させていただいたことは、明らかにこの作品に力を与えてくれている」と打ち明けた。
また金子は「本当に言葉が見つからないような感覚で。映画を撮影しているということよりも、記憶の中にいるような」と、目を潤ませながら撮影を回顧。「現場での監督のお姿を思い起こすだけでも、胸にくるものがある。僕としても貴重な経験でしたし、撮影以前と以降で、感覚が変わった気もします」と、自身に与えた影響の大きさを語った。