玉木宏×吉田鋼太郎、10分以上にわたる攻防戦 『桜の塔』黒幕判明で本当の復讐劇がスタート
「警察に殺される」ーー第1部クライマックスとなる『桜の塔』(テレビ朝日系)第4話は、漣(玉木宏)の父・勇仁(岡部たかし)が残した最期の言葉と死の真相が紐解かれる重要なエピソードである。そのクライマックスとなるのが薩摩派の警備部長・権藤(吉田鋼太郎)と漣の対峙だ。
23年前に起きた警察官が押収品を海外のブローカーに横流し事件。勇仁はそれを暴こうとして殺されていた。当時、押収品の横流しに関わっていた刑事の一覧の上司をたどっていくと今の薩摩派の中心メンバーに当たる。そのメンバーの一人に名前があったのが権藤だったのだ。
回想を含め10分余りとなる2人の攻防戦は脚本にして12ページにも及んだとのこと。冷静沈着なはずの漣が見せるのは珍しく感情的な姿だ。父がなぜ命を絶たなければならなかったのか、なぜ息子の漣を残してこの世を去ったのか。根底にあるのは、真実が知りたいその一心のみ。プロファイリングが通じない相手と知り、レコーダーも回さず、漣は本心で権藤にぶつかっていく。「俺はお前の正義を信じるよ」ーー漣の言葉に23年前の勇仁を重ねた権藤は、勇仁との間でどんな会話が交わされたのか記憶を辿っていく。
権藤と勇仁が対立するのは、それぞれの正義の在り方。「警察は人を助けるために存在する。それ以上でもそれ以下でもない」と主張する勇仁に対して、権藤は「正義なんて立場によって意味も意義も変わってくる」と言い返す。23年経っても権藤にあるのは「組織を守ることが、秩序を保つことが、どれだけの矛盾をはらんでいるのか。その中で一貫する正義なんて存在しない」という考え方。しかし、権藤はその言葉をすぐさま詭弁だと認めることとなる。
漣は部屋のすぐ外に権藤の息子・勝利(新原泰佑)を連れてきていたのだ。息子の前では脆く崩れ堕ちてゆく権藤の正義の城。漣が熱い感情で権藤に立ち向かっていったのは事実であり、レコーダーを持っていなかったのは、相手を油断させるため。冷静と情熱の両方を選んだ、漣の見事な作戦勝ちだ。
そして、権藤の証言から勇仁を自殺に追いやった真の黒幕が浮上する。それが千堂(椎名桔平)。自身の直属の上司であり、彼についていけば警察のトップを目指せる。そう信じていた漣の心が激しく動揺を見せる。千堂が「俺がお前の父親の死を見届けた」と認め、第4話は終了。つまり、漣は第3話で東大派の警務部長・吉永(光石研)、第4話で権藤、第5話では千堂と攻防戦を繰り広げることとなる。各派閥トップとの激戦を終えた先に、どんな敵が待ち受けているのか。折り返しの先の物語が全く読めない展開となっている。