前田旺志郎×倉悠貴、“2人の弟”が見せた笑顔と涙 『おちょやん』切ない竹井家の再会

 家庭劇が新たに「鶴亀新喜劇」として走り始めた直後、寛治(前田旺志郎)が慰問先の満州から日本に帰ってきた。『おちょやん』(NHK総合)第94話では、満州での出来事やそこで出会った千代の弟・ヨシヲ(倉悠貴)について寛治が語り出す。

 日本の敗戦が色濃くなった頃に周囲の反対を押し切って満州の新京へ赴き、すぐに音沙汰がなくなった挙句、終戦から3年後にようやく姿を見せた寛治。毎月給金を仕送りすると千代(杉咲花)に約束していたが、寛治はそのお金を現地で博打や女につぎ込んでいた。そんな時に出会ったのが、ヨシヲだったという。

 寛治は博打に負けてからまれているところをヨシヲに助けてもらい、2人は知り合った。最初ヨシヲは自分が千代の弟であることを隠し、いちファンとして寛治に千代のその後について尋ねる。一平(成田凌)と結婚したこと、2人の家に寛治が世話になっていたこと、芝居のことや千代が舞台で演じた役柄。寛治から千代の話をそれとなく聞き出す、ヨシヲの表情には千代が元気にしていることへの安堵と、もう二度と会えないことへの寂しさが入り混じっていた。

 寛治とヨシヲは境遇がよく似ている。幼い頃から大人たちに裏切られ、人を信じることができず、己も人も騙すことだけが器用になってしまった2人。けれど、どちらも千代に出会い、その温かさに触れ自分も大切にされるべき存在であることを知った。それでもヨシヲは千代の元から去り、寛治も千代との大事な約束を破ってしまう。己の不義理を恥じる寛治と自分を重ねたのか、笑顔で「あの女優さんはそんなこと気にしない」と励ますヨシヲ。2人はどちらも千代の弟のような、はたまた弟と甥っ子のような関係性を築いていく。

 しかし、日本が戦争に負けることが分かり、新天地に夢を馳せ満州に渡ったはずだった邦人の生活が一変する。推定155万人。終戦直後、満州にはソ連が侵攻し、街は戦場と化した。日本国内への引き揚げは困難を極め、母国に帰ること叶わず命を落とした人は20万人以上と言われている。そんな状況をいち早く察知したヨシヲは、寛治にすぐ満州から逃げろと告げた。その時に託したのが、千代に手渡されたビー玉だった。月明かりに透かしたビー玉を覗き込むヨシヲの姿は、千代にそっくりだ。