長澤まさみ、山下智久、新垣結衣らが“突き抜けた存在”へ 『ドラゴン桜』が特別だった理由

 2005年『ドラゴン桜』でコギャルメイクが新鮮だった新垣は、山下も出演した『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)や『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)で好演。運命的な作品となった2016年の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で、男女問わず広い年代に支持される女優へと成長した。映画、ドラマ、舞台への出演を重ねてきた小池はウエンツ瑛士とのユニット「WaT」解散後、役者業で異彩を放つ。『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)や『奪い愛、夏』(AbemaTV)、『ギルティ〜この恋は罪ですか?〜』(日本テレビ系)ではクセのある難役を演じきった。

 中尾も長く活躍し続けている1人だ。妻で女優の仲里依紗を支えながらコンスタントに作品に顔を出し、『監察医 朝顔』(フジテレビ系)では、演技巧者が顔をそろえた法医学教室の一員として同作のヒットに貢献した。紗栄子についてはメジャーリーガーとの結婚を経たのち、二児の母として多くの女性に影響を与えてきた。女優業から遠ざかった今も唯一無二の存在感で話題を振りまいている。

 スポットライトを浴びているように見える6人は、それぞれ浮き沈みを経験している。それでも第一線に踏みとどまり、世代を代表する、あるいは替えの効かない存在になったのはなぜか。筆者はそこに『ドラゴン桜』で得た学びがあると考える。偏差値30の生徒が東大に入るという絵に描いたようなサクセスストーリーがこれほど支持を集めたのは、単なる精神論ではなく、何かを得るための方法論と社会で生きていくための知恵が込められていたから。それが勉強という共通経験を持つ視聴者に直角に刺さった。東大クラスの生徒を演じた6人にとっても、それは同じだったろう。合理的な努力と消費されないための知恵は毀誉褒貶の激しい芸能界に通じる。一時的な人気にとどまらず、6人が突き抜けた存在になったのは理由がある。

 平成という時代を背負った前作『ドラゴン桜』に対して、令和版では現代の教育事情に合わせて指導のあり方も様変わりしている。生徒役で登場するのは、高橋海人(King & Prince)や平手友梨奈、鈴鹿央士たち。それぞれが光る才能を持ち、混沌とした時代を生き抜く若者に令和の『ドラゴン桜』は何を残すのだろう? その答えは10年後に明らかになる。

※高橋海人の「高」は「ハシゴダカ」が正式表記。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■番組情報
日曜劇場『ドラゴン桜』
TBS系にて、4月25日(日)スタート 毎週日曜21:00~放送
※初回は25分拡大スペシャル
出演:阿部寛、長澤まさみ、高橋海人(King & Prince)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太、西山潤、西垣匠、吉田美月喜、内村遥、山田キヌヲ、ケン(水玉れっぷう隊)、鶴ヶ崎好昭、佐野勇斗、早霧せいな、山崎銀之丞、木場勝己、江口のりこ、及川光博ほか
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(講談社刊)
プロデュース:飯田和孝、黎景怡
脚本:オークラ、李正美
演出:福澤克雄ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

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