『トムとジェリー』なぜ実写と2Dアニメーションで映画化? ティム・ストーリー監督に聞く

 映画『トムとジェリー』が3月19日に公開される。1940年に誕生し、2020年に生誕80周年を迎えたアニメーションシリーズを、実写とCGアニメーションによって映画化した本作。セレブカップルの“世紀のウェディングパーティー”が行われることになったニューヨークの一流ホテルで、トムとジェリーが大騒動を巻き起こすさまが描かれる。そんな本作の監督を務めたのは、『ファンタスティック・フォー』や『シャフト』などを手がけてきたティム・ストーリー。実写とCGアニメーションの融合で映画化した背景や、トムとジェリーがいまなお愛され続ける理由について話を聞いた。

「とにかくオリジナルのルックに忠実にしたかった」

ーー今回、往年の名作が実写と2Dアニメーションで映画化されています。3Dアニメーションなど他の手法も考えられたと思うのですが、最終的になぜこの方法での映画化を決めたのでしょうか?

ティム・ストーリー(以下、ストーリー):僕たちは、可能な限りオリジナルに近い『トムとジェリー』のルックが欲しかった。オリジナルが2Dだったから、それでやるしかないと思ったんです。僕らみんなが知っている『トムとジェリー』のルックに、今回のトムとジェリーをちゃんと近づけることで、アイコニックなキャラクターたちに敬意を表したものになると考えました。この作品を作ったのは2020年ですが、いまは2021年。僕らは、いま使われているCGI 3Dのワークフローと同じワークフローでこの作品を作らなければいけないことも分かっていましたが、とにかくオリジナルのルックに忠実にしたかったんです。観客の方々が今回のトムとジェリーの姿を見たとき、昔観ていた作品の記憶を呼び戻すようなものにしたかったんです。

――最初から2Dアニメーションと実際の役者を使った実写を合わせる形で映画化したかったんですね。

ストーリー:そうなんです。スタジオからのオリジナルのコンセプトは、2Dアニメと実写の合成をすることでした。そして、なぜ僕がこの映画を作りたかったか、なぜ僕がこの映画を作ることにとても興奮させられたかという理由の一つが、その両方の世界のベストのコンビネーションは、トムとジェリーが2Dアニメーションの状態でリアルな世界の中にいること、というのが分かったから。今回、僕がすごく楽しいものになるだろうと思っていたのは、アニメ化されたキャラクターたちが、本物の部屋や結婚式、僕らが触れることができるリアルなものを破壊することでした。こういったアニメ化されたキャラクターたちが大混乱を巻き起こすのを見るのは、ものすごく楽しいものになるだろうと思ったんです。

ーー『トムとジェリー』を実写と2Dアニメーションの融合で映画化したことによる最大のメリット、また逆に最も困難だったことはなんでしたか?

ストーリー:最大の利点は、自分がやりたいと思うアイデアをなんでも思いつけることでした。とても楽しかったのは、キャラクターたちがすべきだと思うことを策定し、それを撮影すること。また、撮影後のポスプロで、自分の考えを変え、もっといいアイデアを見つけることもできました。そして、もし必要ならショットを作り直して、映画の中にキャラクターのリアクションを入れる。実際、この映画を作ることは、フィルムメイカーとしての僕に多くの自由を与えてくれました。今回は毎日仕事に行くのがとても楽しかったんです。なぜなら、もし寝て、翌朝にアイデアを思いついたら、みんなが作業している部屋に入っていって、「ねえ君たち、これをやるのにもっといいアイデアがある。それをやってみよう」と言うことができたからです。

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