『知ってるワイフ』元春の不器用さの積み重ねで“最悪の事態”に サスペンスドラマの様相も

 加えて、元春の悪いところは、事態を円満におさめようとするが故に嘘をついたり、誰かを庇ったりしてしまうところ。立ち回るのが下手な元春は、こうした不器用さの積み重ねでいつも妻からの信頼を欠いてしまう。そんな元春を見るにつけ、イライラすると同時に、どこかで“女性の気持ちを分かってくれる日がいつかくるのでは”という淡い期待もしてしまうのだが、今のところそんな兆しはあまり見えてこない。唯一の成長を感じるとすれば、「澪を自分のものにしたい」という感情が「澪の幸せを願いたい」という気持ちに変わったことだろうか。

 そして、これまで元春一筋だった沙也佳の心の隙間には、いつも家に花を配達していた青年・上原が入り込もうとしていた。家出をした沙也佳が、偶然深夜の街中で出会った上原は、元春とはまた違った魅力を放つ。甘え上手で、沙也佳の強気でわがままな性格さえも器用にかわす上原だが、沙也佳との関係をどう深めていくのか注目したいキャラクターでもある。

 嫉妬に駆られた沙也佳は、以前津山に教わった裏サイト「ビハインド」に澪の誹謗中傷を書き込もうとしていた。元春の何気ない行動はこうしてあおい銀行をも巻き込む大きな問題にまで発展しようとしている。『知ってるワイフ』はもはや、ラブストーリーの域をこえサスペンスドラマの様相を呈する展開になりつつある。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
木曜劇場『知ってるワイフ』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送 
出演:大倉忠義、広瀬アリス、松下洸平、川栄李奈、森田甘路、末澤誠也(Aぇ!group/ジャニーズJr.)、佐野ひなこ、安藤ニコ、マギー、猫背椿、おかやまはじめ、瀧本美織、生瀬勝久、片平なぎさ
脚本:橋部敦子
編成企画:狩野雄太
プロデュース:貸川聡子
演出:土方政人、山内大典、木村真人
音楽:河野伸
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ

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