『君と世界が終わる日に』は“本気”のゾンビ作品 『ウォーキング・デッド』との共通項は?
“ゾンビ”という言葉が存在しない世界観
これは『ウォーキング・デッド』に限らず、多くのゾンビ作品に共通することなのだが、ゾンビという概念がある世界観と、ないものがある。ジョージ・A・ロメロ監督作品は基本的に「ゾンビ」という言葉を使わずに、「生きた屍」という認識で徐々にその生態(噛まれたら感染、頭を潰すと死ぬなど)を学んでいくスタイルになる。『ウォーキング・デッド』も、「ウォーカー」をはじめあらゆる言葉で“ゾンビ”の代用をしている。
一方で『ゾンビランド』など、その世界にすでにゾンビという認識があるタイプの作品は話が早い。なぜなら、主人公たちは大方ゾンビの特徴に関する知識をすでに映画などで知っているからだ。だから、ある意味物語を広げていくことが難しいタイプでもある。「なぜ感染したのか、感染とは何なのか」という基礎的な展開をカットし、「今後どう生きていくか」からの展開にフォーカスしているからだ。こういう点でも、『君と世界が終わる日に』からは改めて丁寧な描写に重視すること、そして物語を長期で展開していく気概を感じる。
お決まりのグループメンツ、のちの相棒キャラと不仲スタート
さて、ゾンビものでお決まりなのが主人公と生存者グループとの合流である。『ウォーキング・デッド』のリックは最初単独で街を探索するが、すぐにゾンビに襲われてピンチになる。そんな時、どこからかその様子を見ていた他の生存者(グレン・リー)に助けられた。
『君と世界が終わる日に』も、竹内演じる間宮が足を負傷した状態でゾンビの集団に襲われているところを、生存者グループが助ける。そこには幼い子供(三原結月/横溝菜帆)、母親(三原紹子/安藤玉恵)、老人(宇和島雅臣/笹野高史)、外国人(ユン・ミンジュン/キム・ジェヒョン)、利己的な人間(甲本洋平/マキタスポーツ)、主人公と因縁のある人物(等々力比呂/笠松将)……と、これまた『ウォーキング・デッド』的な定番の顔ぶれがいる。リックの息子カール、妻であり母のローリ、最年長の老人デール、アジア人のグレン、自己中なメルル、そして警官仲間にして妻を寝とった男シェーンといった具合だ。
ここで特筆すべきなのは、笠松将演じる等々力だ。間宮が実は弓道部出身で弓使いであることが第1話で明かされ、なんだかまるでダリル・ディクソンのような活躍っぷりを見せてくれる。一方、最初は主人公と不仲なのに(恐らく)のちに背中を預け合う相棒になりそうな、それこそダリルポジションの等々力が警察官というリックのポジションで、ここの入れ替わりが興味深い。どうやら二人が不仲になった原因が間宮の恋人の小笠原来美(中条あやみ)という点は、ローリを取り合った元親友同志のリックとシェーンの間にも重ねられる。