木村拓哉演じる『教場』風間公親の魅力 年明け放送の続編ではその過去が明らかに?
警察学校を舞台に冷酷な教官・風間公親(木村拓哉)と、彼が教える風間教場の生徒たちの物語が展開していく2夜連続のスペシャルドラマ『教場』(フジテレビ系)。12月30日に再放送された「後編・スペシャル編集版」では、卒業というひとつの大きな節目が明確に見えてくるなかで、主要な生徒たちはもちろんのこと、風間自身にも変化が少しばかりではあるが見えるように。そのあたりは“警察学校”という場所もまた、“学校”というドラマ性に富んだ特殊な空間であることを感じさせてくれる。
南原(井之脇海)の部屋で密造銃を見つけた宮坂(工藤阿須加)は、“人質”として警察手帳を奪われてしまい、そんな宮坂の様子がおかしいことを風間や楠本(大島優子)はすぐに見破る。その一方、実家の兄が倒れたことを知り落ち込んでいる枝元(富田望生)をテレビのインタビュー取材に誘う菱沼(川口春奈)。しかしその頃を境に、仲の良かった2人の関係がギクシャクし始めることに。そしていよいよ198期の生徒たちに卒業の時が近付き、風間から退校届を突きつけられている宮坂たちと、風間の過去を調べていた都築(味方良介)は同じグループとして特別授業に挑んでいくのだ。
ストーリーの大まかな流れ自体は前編と同様に、それぞれの生徒たちが引き起こす事件にフォーカスが当てられていく。一方が去り、また一方は風間という人間の素性に迫るチャンスが得られるというかたちだ。しかし前編ではその冷酷さが際立っていた風間は、楠本に語りかける「人を傷つけたことがある者は、人を守ることができる」という言葉をはじめ、「遺族になったつもりで捜査に当たってほしい」、そして「苦しんでる人の声に耳を傾けることが警察官の仕事」だと、その厳しさの裏にある強い信念が見え隠れするようになった。また、卒業していく生徒たちを見送る際の贈る言葉。風間という存在が、限りなく1人の人間であることを感じさせる温度を持った言葉の数々はなかなか感動的であり、“学校”を舞台にした物語の醍醐味を味わうことができよう。
ところで前編の際には、誰もいない教室でひっそりと退校した生徒の机に貼られた名札が回収されていくシーンが印象的に映し出されていたが、この後編では異なる描写のされ方であった。南原の名札が取り除かれるシーンで、教場内にいた他の生徒たちは彼が去ったことを知る。また枝元の名札が取り除かれそうになることで、枝元の席に座って考え込んでいた菱沼は彼女とふたたび向き合う勇気を得る。厳しい教官と生徒の関係を描くと同時に、生徒と生徒との関係(風間は「友情を教えたつもりはない」と言い放つわけだが)を描いたこのドラマの舞台が、タイトルが示す通り“教場”であることをまざまざと証明しているかのようだ。