【検証】『銀魂』『エヴァ』など今観直しておきたいアニメ、全話観たら何時間かかる?

『セーラームーン』:劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』

劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》予告映像60秒

 1992年から1997年にかけて毎週土曜の夜に放送されていた、『美少女戦隊セーラームーン』。武内直子による原作漫画のダークな部分が子供受けするようマイルドになったアニメシリーズは、国内はもちろん海外のアニメファンからも絶大な支持を受けている。

 当時、80年代以降少年向けのアニメ制作が活発に行われ、1990年代初頭も『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』『キン肉マン』や『Dr.スランプ アラレちゃん』といった少年誌漫画のアニメ化が盛んだった。しかし、1992年に登場した『セーラームーン』が大ブームとなり、その後少女向けのアニメが人気を博すように。まさに時代の転換の役割を担ったアニメで、美少女戦隊というコンセプト、つまり5〜6人でのチーム編成や、女の子が普段隠しているパワーを使った悪との戦闘も、これ以降のアニメに広く見られるようになった。

 さて、そんな『セーラームーン』の人気が再び上がるきっかけとなったのが、2014年〜2016年に放送された新シリーズ『Crystal』。これは前述の90年代版のリメイクではなく、あくまで再び武内直子の原作をアニメ化しなおしたものだ。当時のものがコメディタッチだったのに対し、本作はよりコミックに忠実にシリアスな展開である。そして、2021年1月8日と2月11日の前後編に分かれて公開される劇場版『Eternal』は、その続編となっている。

 なので、『Eternal』を観るだけなら『Crystal』シリーズだけの復習でもいいかもしれない。それだとトータルで14.95時間だけ、つまり1日で観ることができてしまう。お茶の子さいさいだ。しかし、どうせなら90年代版との違いも比較して楽しみたいところ。全アニメを網羅するのであれば、141.77時間、日数で言うと6日が必要だ。もちろん、健康的で文化的な最低限度の生活を送らない前提だけど。

『新世紀エヴァンゲリオン』:『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』特報3【公式】

 90年代に人気を博したアニメといえば、『新世紀エヴァンゲリオン』のことを語らずして始まらない。庵野秀明が1993年に発表し、それ以降日本だけでなく世界的なアニメシーンに多大な影響を与えた作品だ。約27年間、ファンや批評家によってあらゆる考察がされてきた本シリーズがついに2021年1月23日公開の『シン・エヴァンゲリオン』を以て幕を閉じる。

 ここまで長きにわたって愛されてきたシリーズだ。一見さんお断りの雰囲気があるが、実は意外と作品数が少ないので入りやすさもある。アニメシリーズは26話で終わり、その後は旧劇場版と新劇場版が続く。ここでややこしいのが、旧劇場版。リドリー・スコットの『ブレードランナー』のようにいくつもバージョンがあるように見えるが、新作映画に併せて世界観を理解しておきたいのであれば『DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』が総集編になっているので、これを観ておけば間違いない。

 対して新劇場版は旧劇場版の再構築であり、シンジやアスカなどの主要キャラクターの性格にも違いがある。『シン・エヴァンゲリオン』はその新劇場版第4作にあたるが、これを以てエヴァンゲリオンが終わってしまうなら、いっそのことアニメ版から全部一気観して臨みたいところではないだろうか。その場合、トータルで17.65時間、日数でいえば1日で見切れるのだ。これなら健康的で文化的な最低限度の生活も送れそうなので、私自身是非試したいと思う。

 いつだって、劇場版が公開されると気にはなる。気にはなるけど、「前作観てないしなあ」「いつか観ようと思っていたのになあ」と、足を運びづらい。公開から数年後、ようやくマラソンを完走して劇場版にも到達し、1人盛り上がっても周りは「え? 今さら?」みたいな顔をして全然乗ってきてくれない。そんな、いつもトレンドに乗れない残念さを今年こそは解消したいという、そこのあなた。ステイホームでアニメ三昧な年末年始を一緒に過ごそう。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆。サンタさんから欲しいものはPRIME1STUDIOのディロフォサウルスのスタチュー。InstagramTwitter

■公開情報
『銀魂 THE FINAL』
2021年1月8日(金)公開
監督・脚本:宮脇千鶴
監修:藤田陽一
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会
公式サイト:gintamamovie.jp
公式Twitter:@gintamamovie

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