余裕のないロック様が新鮮! 主人公家族の有能っぷりが最高にアツい『スカイスクレイパー』
ロック様がロッククライミング、なんて冗談はさておき『スカイスクレイパー』が12月19日のフジテレビ系土曜プレミアムで地上波初・本編ノーカットで放送される。
ドウェイン・ジョンソン演じる主人公が、香港にて高さ1000メートル超えの燃え盛る摩天楼を舞台に家族を救出するという物語。この高層ビルはただ火事になっているわけではない。ビル「ザ・パール」を作った実業家を狙う謎の犯罪組織による計画的放火であり、彼らとの戦闘も避けられない。しかも、途中で主人公は犯罪組織の一味として疑われ、警察からも追われる羽目になる。もう大変すぎる、ドウェイン・ジョンソン! でも、彼なら基本なんでも無敵なのでどんな状況下でも大丈夫だ、という謎の安心感がある。言わばアーノルド・シュワルツェネッガーみたいな俳優だ。正直、ロック様が敵をボーリングのピンみたいに軽快に投げ倒していく姿が目に浮かんで、内容が想像しやすい映画かもしれない。しかし、そう思っている人にこそビックリな映画が『スカイスクレイパー』。何を隠そう、ドウェイン・ジョンソンが“強くない”映画だ。
こんなに心配になるロック様は初めて!?
本作の主人公ウィル・ソーヤーは、元FBIの制圧部隊のリーダー。退職してから10年経った今、昔の同僚の紹介で新築のパールのセキュリティ監査を担当することになる。こういう過去に最強だった男が引退して、犯罪組織に巻き込まれるタイプの映画は多い。だいたいリーアム・ニーソンあたりが主演を務めている。そんな設定の場合、大抵は間違った相手を選んでしまった悪い奴らに同情しながら安心して観ていられるのだが、本作は一味違う。なぜなら、ウィルは現役時代に担当した人質事件にて、犯人の爆破に巻き込まれて片足を失っているからだ。そんなこともあり退職してから10年、映画冒頭の朝の支度シーンでは明らかに体が鈍っていて、白髪まじりの髭を蓄えた“老い”を感じさせるドウェイン・ジョンソンの姿が。街で偶然スリに出会っても、取り押さえるどころか刃物で斬り付けられて負傷する始末。これはまずい!
明らかにハンデのある彼が、本作では普段の彼らしくパールに隣接するビル建築用のクレーンを素手で登ったり、そこからパールにジャンプして侵入したりする。これがもう、観ていてとにかくヒヤヒヤする。ロック様なのに、全然安心して観られない。特に高所恐怖症の方にとっては、その辺のホラー映画より怖いかも。
しかし、そんな調子の悪い彼でも義足を最大限に生かしたアクションを映画後半、存分に発揮する。この義足が、随分彼を救ってくれるのだ。そういう、ハンデやマイナスとしてみなされるものがプラスに作用していく演出も良い。