『東京タラレバ娘2020』に漂うリアリティ 3年ぶりに描かれた“傷つき切ること”の大切さ

 3年ぶりに『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)がスペシャルドラマとして帰ってきた。東村アキコ原作で、そもそも「2020年東京オリンピックをこのまま独身で迎えるのはまずくないか?」との不安に駆られた30歳の主人公たちが恋に仕事に悪戦苦闘する日々が描かれた前作。そこから3年が経ち、東京オリンピック開催は延期となったものの、倫子(吉高由里子)、香(榮倉奈々)、小雪(大島優子)は、33歳になっていた。

 バンドマンの元カレ・涼ちゃん(平岡祐太)ではなく、高校教師のゆう(渡辺大知)とスピード結婚した香。同じく、倫子は年下金髪モデルのKEY(坂口健太郎)が俳優業のために渡米した後、図書館司書の朝倉(松下洸平)という新しい彼氏が出来ていた。

 この3年で、パートナーとして選ぶ人もバンドマンやモデルから、公務員や司書と随分地に足がついた堅実な職業になり、華やかさはないものの随分リアリティのある存在に変化した。「結婚相手が一番好きな相手だったかと言えば……でも焦って結婚した訳でもないし不思議だ」という香の心の呟き、「楽しさと苦しさ、幸せと切なさが背中合わせなのが恋と思っていたけれど、少しずつじわじわ好きになっていく恋もある」という倫子の心の声に、この3年間での彼女らの心境の変化が窺える。

 しかし、現実とはこうも世知辛いものなのか。多くを望んだ訳でも高望みしたつもりもないのに、ようやく手近なところにあった幸せに気づけたと思ったのも束の間、結婚式当日に相手に逃げられたり、結婚した男がかなりのマザコンだったりするのだ。

 それにしても結婚式当日に逃げ出されるというまさかすぎる展開だったが、それを爽やかで実直な松下洸平が演じるがゆえ、視聴者もあり得る流れだと受け入れ、タラレバ娘3人も朝倉のせいではなく、問題は朝倉のあざとい元カノにあると言うのだった。

 「朝倉さんのことを好きにならなければ」。この言葉が思わず口をついて出てしまうのは、もしかすると倫子が本気で欲しかったものではなく、彼にとことん向き合い切れていなかった証拠だと言えるかもしれない。

 また、香の夫役に渡辺大知を配置したのもやけにリアリティがある。決して悪い人ではないもののその無関心さや鈍感さによる“気付いてもらえなさ”が積もった先に、“2人なのに1人”という他人にはわかってもらえない得も言われぬ孤独感が待ち受けているのだろう。