窪田正孝の優しさが命取りに 『エール』裕一が作曲家として向き合う戦争

 今まで以上に作曲家として、届ける人の思いを汲み取ろうとするようになった裕一(窪田正孝)は、西條八十(中野英樹)が書いた歌詞に対して手直しをお願いしたり、一度完成させた曲に納得がいかずに再度曲を書き直したいとお願いしていく。

 朝ドラ『エール』(NHK総合)第83話では、予科練に練習生の若者たちの気持ちをより理解して表現するために、彼らの日常を体験しに土浦航空隊へ向かった。

 実際に訓練にも参加した裕一であったが、それでも新たに曲を書くことに苦戦をしていた。そこで裕一は、みんなと仲良くすることなく一人でポツンと座っていた若者に話を聞くことに。

 それから裕一が書き上げた曲は、当初書き上げていた曲とは全然異なる曲であった。当初は教官のみが2曲を聴いて、どちらの曲にするか決める予定であったが、裕一は実際に届ける練習生たちに決めてほしいと懇願する。裕一の度重なる要望に振り回され続けてきた三隅(正名僕蔵)だが、ここもさすがの機転で裕一の思いを汲み取った。

 すると結果は、教官は1曲目を選択したが、練習生は後から作った2曲目を選択、実際に音楽に対しての思い入れがあった副長の濱名中佐(谷田歩)も、「2曲目の方が圧倒的に好きだった」と裕一に告げた。

 裕一の持つ言語化しがたいが何か違うと感じる感覚や曲が降ってくる感覚は今までと変わらず、それらの才能を軸に、大衆向けに曲作りをしてきた裕一であったが、届けたい人たちのためだけに、最大限の思いを汲み取った上で曲作りを行うように変わり始めてきている。

 兵役を免れた裕一にとって、日本のためにできることは曲を通して、彼らのために尽くすことだけだ。それを悟ったからか、明らかに今までの裕一とは一曲に対しての思い入れの違いが垣間見える。

 そしてその裏では、鉄男(中村蒼)が取材中に聞いたある噂話を、音(二階堂ふみ)に告げていた。それは、激戦地への慰問に裕一が候補として挙がっているという噂であった。

「優しさは時に命取りになる」

 自分の書きたい曲だけではなく、誰かのためにお願いされた曲を誰かのために書き続けてきた優しい性格でもある裕一。それがわかる過程も何気ない日常もしっかりと描かれているからこそ、より戦争の残酷さが滲み出てくる。

■岡田拓朗
関西大学卒。大手・ベンチャーの人材系企業を経てフリーランスとして独立。SNSを中心に映画・ドラマのレビューを執筆。エンタメ系ライターとしても活動中。TwitterInstagram

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)~11月28日(土)予定(全120回)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、中村蒼、山崎育三郎、森七菜、岡部大、薬師丸ひろ子ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/