森七菜、デビューから異例の早さで連ドラ主演 “大役”を担い続ける理由を探る

 10月スタートの火曜ドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)にて連ドラ初主演を務めることが発表された森七菜。ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(2019年、日本テレビ系)、『天気の子』(2019年)、『ラストレター』(2020年)と作品ごとに重要な役どころを担い、キャリアを重ねている彼女だが、公開中の『青くて痛くて脆い』でもきわめて重要な役どころを担っている。同作での森は、どんなはたらきをみせているのだろうか?

 『君の膵臓をたべたい』の住野よるによる青春ミステリー小説を実写化した『青くて痛くて脆い』において、森が演じている西山瑞希とは映画のオリジナルキャラクターだ。つまり、原作小説には出てこない人物である。本作は映画化に際した脚色として、原作からの大きな改変がなされているが、これがその一つである。“青春ミステリー”とあって、その内容に深く触れることは難しいが、瑞希という人物の作品内での“立ち位置”については述べておきたい。彼女は主人公である楓(吉沢亮)と秋好(杉咲花)が設立したサークル「モアイ」がボランティアとして訪れるフリースクールに通う少女。ある理由によって学校に通えなくなり、“一生懸命”になることに対しても否定的で、厭世的な態度を取っている。

(c)2020「青くて痛くて脆い」製作委員会

 原作には登場しないこの人物が、なぜ重要なのか。主人公の一人である楓は、コミュニケーションを取るのが苦手で、周囲の者との距離を取り、他者の人生に立ち入ろうとしない大学生だ。そんな彼は、映画の中で流れる時間を通しても、なかなか変わることができない。彼の持つポリシーこそが、本作における大きな事件を引き起こすのだ。森が演じる瑞希は、この楓とどこか重なりを感じさせるキャラクターだ。原作は楓の一人称で展開するため、映画で瑞希という存在が登場し、彼女が観客の目に客観的に映ることによって、より楓が“変わることができない人物”であることを強調づけている。瑞希は社会における主人公たちの“立ち位置”を示すはたらきをしているのだ。

 それは具体的にどんなものか。瑞希の成長する姿を見せるシーンとして、彼女がフリースクールでライブをするシーンがある。ここで見て取れるのは、社会に関わろうとする瑞希の変化だ。このシーンで瑞希が歌う姿があることによって、変わることのできない楓の存在がより強調されることになるのだ。この立ち位置の違いが“対比”として機能しているのである。

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