大和田常務は敵か味方か? サラリーマン劇としての真価が問われる『半沢直樹』後半戦

 原作小説の読者には今後の展開がある程度、予想できる。第6話(8月23日放送)のあらすじ紹介にあるように「帝国航空をめぐる重大な過失が発見され」、東京中央銀行も無傷では済まないだろう。いかにも訳ありげな紀本常務(段田安則)の存在も気になる。それだけではなく、ドラマオリジナルの不確定要素も。それは他ならない、みんなが大好きなコミカルヒール、大和田常務の存在である。原作と違って、半沢が帝国航空を任され、もし失敗すればキャリアにとって大きなマイナスとなるように仕向けたのは大和田だった。もしかすると、大和田は「重大な過失」にも絡んでいるのかもしれない。さらに、半沢は「腐った人間」として大和田の名前も挙げており、一度はタッグを組んだものの大和田は最終的に排除すべき存在。それに「死んでも嫌だね!」と抵抗する大和田が再びラスボスに……という展開もありえそうだ。または、大和田が改心して、半沢と志を共にし組織改革をするのか。今後も香川照之が怪演する大和田の動きから目が離せない。

 半沢が挙げた組織の理想像の中では「組織の常識と世間の常識が一致していること」が最も達成困難なようだ。国土交通大臣の白井(江口のりこ)ら政府の面々も銀行の中枢も、とても一般庶民の感覚を分かっているようには見えない。この高視聴率ドラマが現実社会でも起こっている政治離れと格差の問題に何かしらのヒントを与えられたら、真の傑作となりえる。そんな予感がする。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS

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