『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』監督が制作の裏側を明かす メイキング写真も公開
8月14日に公開される映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の監督を務めたアグニェシュカ・ホランドが、作品の出会いや制作の裏側について明かした。
本作は、秘密主義の独裁国家に潜入した実在のイギリス人ジャーナリストの闘いを描いたサスペンスドラマ。1933年、ヒトラーに取材した経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズが、スターリンが統治するソビエト連邦の繁栄の謎を解くために単身モスクワを訪れ、想像を絶する現実を目の当たりにしていく。
主人公ガレス・ジョーンズを演じたのは、TV『グランチェスター 牧師探偵シドニー・チェンバース』やNHKでも放送されたBBC制作ドラマ『戦争と平和』で主演を務めたジェームズ・ノートン。そして、ニューヨーク・タイムズのモスクワ支局に勤める女性記者エイダを『ザ・クラウン』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』のヴァネッサ・カービー、ニューヨーク・タイムズのモスクワ支局長ウォルター・デュランティを『ニュースの天才』『フライトプラン』のピーター・サースガードが演じた。『僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ』『太陽と月に背いて』『ソハの地下水道』のホランド監督がメガホンを取った。
今回初めて映画の脚本を執筆したアンドレア・チャルーパは、ホランド監督の歴史的な映画や政治的発言を鑑み、映画化の話を持ちかけた。普段から歴史上の惨状を題材にした脚本が多く届く中、チャパールの執筆した本作もそのひとつであり、当初監督は気乗りしなかったという。「重要性は評価しますが、あまり気乗りしないものがほとんどです。忠実に再現するのは気が重いし、そういう脚本のほとんどがとても浅薄なのです。今回の脚本も読み始める前は途中でやめてしまうだろうと思ったのですが、ストーリーと登場人物、そしてジョージ・オーウェルの『動物農場』と結びつくコンセプトに惹きつけられました」とホランド監督は語る。
監督は、チャルーパの手がけた脚本が、今の世の中にも通じる要素であること、事実を目撃して伝えた実在した人物が主人公であり、彼の勇気と誠実さ、ジャーナリズムの義務を深く理解しているという説得力があることに興味を持った。そして、オーウェルの『動物農場』と結びつくコンセプトも加わり、揺るがぬ軸を感じたホランド監督は、多数の脚本の中から、本作の映画化を決めて、舵を切った。
ホランド監督は、実話ものや歴史大作にありがちな堅苦しさを避け、あらゆるシーンに観客が共感できる人間味を出すようにしたという。「撮影監督のトマシュ・ナウミュクとともに、作品に独自のエネルギーを持たせたいと思っていました。トマシュは若く、とてもオープンでクリエイティブです。私は『こういうふうにやって』とは言いません」と制作側と役者、それぞれが協力しながら作品に取り組む環境づくりを意識したこと話す。
そんな撮影監督のナウミュクはホランド監督のことを、「とても知的かつ感性が豊かで、ビジネスで映画を作っているという感覚がない。だからアグニェシュカの前では決して手を抜けないんだ。彼女は映画における技術や質などを知り尽くしている。常に最高のシーンのために闘わなくてはならないし、妥協は許されないんだ」と評している。
■公開情報
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
8月14日(金)新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国公開
監督:アグニェシュカ・ホランド
脚本:アンドレア・チャルーパ
出演:ジェームズ・ノートン、 ヴァネッサ・カービー、ピーター・サースガード
配給:ハピネット
配給協力:ギグリーボックス
(c)FILM PRODUKCJA – PARKHURST – KINOROB – JONES BOY FILM – KRAKOW FESTIVAL OFFICE – STUDIO PRODUKCYJNE ORKA – KINO SWIAT – SILESIA FILM INSTITUTE IN KATOWICE
Photo by Robert Palka (c)2019 Film Produkcja All rights reserved