豪華アクション女優の共演からオンライン交流まで コロナ禍における海外エンタメ業界の試み
ファンとのオンライン交流を前提とした企画も多くなってきました。Watch Party、同時視聴イベントです。いくつかのやり方があるのですが、参加する人は、時間を決めていっせーのーせでテーマとなる映画を同時再生します(配信を使ったりブルーレイを再生したりです)。それで観ている間のコメントに、指定されたハッシュタグをつけて投稿しあってワイワイみんなでその映画を楽しむというパターンです。
今回はその仕組みを使って有名アメコミ映画サイト・コミックブックがQuarantine Watch Partyと名付けてアメコミ映画中心の同時視聴イベントをしかけました。Watch Party自体は前からある仕組みなので、今回のこの流れにはQuarantine=自宅隔離、自宅待機とつけたようです。Quarantine Watch Partyには連日すごいゲストがここに参加して大いに盛り上がりました。
ざっと挙げただけでも
・3月31日開催の『シャザム!』(デヴィッド・F・サンドバーグ監督、出演のアッシャー・エンジェル、ジャック・ディラン・グレイザー、マルタ・ミランズ、クーパー・アンドリュースが参加)
・4月7日開催の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(ジェームズ・ガン監督が参加)
・4月27日開催の『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』(監督のルッソ兄弟が参加)
・5月6日開催の『スパイダーマン:スパイダーバース』(ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマンの3人の監督、プロデューサーのクリス・ミラーらが参加)
ゲストたちは自身のSNSを通じて再生されている画面にあわせ「このシーンはこうだった」とか裏話を明かしてくれたり、ファンの質問にリアルタイムで答えてくれました。
この試みは海外のエンタメサイドにも好評でした。というのも、この場を通じて監督たちが次回作についてのコメントをしてくれて、例えば
・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の3作目ではロケットの物語がキーになる(ジェームズ・ガン談)
・いつかまたほかのマーベル映画を撮る可能性もある(ルッソ兄弟談)
・『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編にはレオパルドンが出る(クリス・ミラー談)
これらのコメントが格好のニュースネタになってくれたからです。今年はサンディエゴ・コミコンもリアルイベントが中止され、#ComicConAtHomeの掛け声のもと、オンラインでの実施が発表されました。「今年のコミコンは無料で、並ばず誰でも特等席!」という逆境を逆手にとったユーモラスな予告が配信されました。このWatch Party的な手法が応用されるかもしれません。そう、Watch Partyはウイルス禍が去ってもファンと送り手の新たな交流の場として発展する可能性があります。
繰り返しになりますが、今回ご紹介したのはほんの一例であり、この他にもCOVID-19によるウイルス禍に対し、エンタメ業界もいろいろな試みを行っています。僕はこうしたものの中からいつか課金できるもの、お金をとれるものが出てくると思います。そこで得たお金がエンタメ業界の救済のために使われていく、そういう風にまわっていくのではないでしょうか?
■杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画に関するコラム等を『スクリーン』誌、『DVD&動画配信でーた』誌、劇場パンフレット等で担当。サンディエゴ・コミコンにも毎夏参加。現地から日本のニュース・サイトへのレポートも手掛ける。東京コミコンにてスタン・リーが登壇したスパイダーマンのステージのMCもつとめた。エマ・ストーンに「あなた日本のスパイダーマンね」と言われたことが自慢。現在発売中の「アメコミ・フロント・ライン」の執筆にも参加。Twitter