フルパワーで戦国を駆け抜ける黒島結菜に好感! 持ち前の爽やかな魅力がハマった『アシガール』

 本ドラマは、擦り傷もいとわず土で真っ黒になりながら山林を駆け、お腹を空かせて大根をかじり、その都度、感情をダダ洩れにしながら、「シャッ!」と気合を入れて邁進する唯をしっかり応援したくなる。これには黒島の体当たり演技の貢献が大きい。澄んだ瞳と意志の強そうな眉が魅力的で、なおかつ、周囲の心を柔らかく溶かし、若君こそが唯を守りたくなる可憐さを持ち合わせる。黒島の持ち前の瑞々しい魅力が十分に生かされ、その嫌味のなさが、同性からの支持へと繋がった。

 現在23歳の黒島は、2012年より芸能活動を開始し、14年に連続ドラマに初出演した柳楽優弥主演、福田雄一演出の『アオイホノオ』(テレビ東京系)で早くも存在感を発揮。翌年、映画『あしたになれば。』で映画初主演を果たした(小関裕太とのW主演)。16年に『時をかける少女』(日本テレビ系)で連続ドラマ初主演。20歳で当たり役となった『アシガール』の主演へと至った。昨年、今年と、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(NHK総合)での村田富江役、連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)で話題を集めた松永三津役と好演を続けるNHKとの相性も良い。

 1996、97年生まれの同世代女優には、池田エライザ、三吉彩花、中条あやみ、杉咲花、松本穂香らがおり、それぞれに個性を放っているが、黒島の持つ親しみやすさと爽やかさは独自のポジションを築いている。現在、『行列の女神〜らーめん才遊記〜』(テレビ東京系)が放送中で、夏には『呪怨:呪いの家』(Netflix)が控える黒島。まだ23歳、役の幅も広がるこの先、その年齢になったからこそ似合う役でも楽しませてくれるに違いない。その前に、この機会に今は、唯と一緒に若君のカッコよさに目をハートにしながら、『アシガール』の世界にどっぷり浸ろう。

■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■放送情報
『アシガール』(再放送)
NHK総合にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:黒島結菜、伊藤健太郎、松下優也、ともさかりえ、川栄李奈、石黒賢、イッセー尾形ほか
原作:森本梢子
脚本:宮村優子
音楽:冬野ユミ
演出:中島由貴、伊勢田雅也、鹿島悠(NHKエンタープライズ)
制作統括:内田ゆき(NHKエンタープライズ)、土屋勝裕(NHK)
写真提供=NHK
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/ashigirl/

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