『野ブタ。をプロデュース』あの決めポーズが登場! 物語は起承転結の“承”に

 今週も引き続き放送された『野ブタ。をプロデュース』特別編(日本テレビ系)。放送から15年経つわけだが、いまもそっくりそのまま残されている放送当時の公式サイトを見ると(これが懐かしくて実に面白いのだ)、「プロデューサー日記」というコーナーに第4話についてこのように書かれていた。「登場人物たちの感情や関係値を進めてみたいと試行錯誤して作った回」。たしかにこのエピソードの終盤、彰(山下智久)は信子(堀北真希)への恋心を自覚し、修二(亀梨和也)は信子と彰と3人でいることに居心地の良さを覚えるようになるなど人間関係に動きが現れはじめる。つまりは起承転結の“承”にあたるものがここから始まるのだといえよう。

 修二たちが通う隅田川高校で年に一度、11月4日の「いいよの日」に行われる全校生徒の前で愛の告白をするというイベント。その日に修二が信子に告白をすれば、信子は一気に人気者になれると提案する彰に、「自分の力で人気者にならなきゃ意味がない」と反対する修二。しかし彰から、自分の人気が落ちることに抵抗を持っているのだとすぐに見破られてしまう。そんな中、坂東(水田芙美子)たちの嫌がらせによって逆に信子が修二に告白することになってしまい、修二はどのような返事をするべきかと葛藤するのである。

 このエピソードで描かれるテーマは「人は変わることができる」ということ。信子は自分に嫌がらせをするギャルグループのリーダー格である坂東に自ら向かっていき、そして「いいよの日」の告白の場で“水”か“花”かの選択を彼女に委ねるのだ。最近の学園ドラマでは、世間への影響を気にしてかすっかりいじめ描写が少なくなった。しかしこの『野ブタ。』のように、単にいじめの描写があるのではなく、それにどう立ち向かっていくのかというひとつの答えを明示するために描かれているということは忘れてはなるまい。それはもちろんいじめに限ったことではなく、物語で描かれる悪事には常に加害者への報いと被害者への救済が存在するべきであり、同時に受け手は現実と物語とを区別して捉えるべきなのではないだろうか。

 ところで信子が坂東に向かっていく直前のシーンで、本ドラマを象徴するあの「野ブタパワー注入!」の決めポーズがついに登場する。そこで思い出されるのは、『野ブタ。』の放送から10年ほど経った2016年1月期の日本テレビ系ドラマのコラボレーション。土曜日には亀梨が主演を務めた『怪盗 山猫』が放送され、水曜日には堀北が主演を務めた『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』が放送。そして『怪盗 山猫』の第6話に「ヒガンバナ」の役柄で登場した堀北は、亀梨と2人で「野ブタパワー注入!」を披露したのだ。この茶目っ気あふれるコラボに『野ブタ。』ファンはもちろん大盛り上がりだったわけだが、その直後に堀北は電撃引退。また亀梨・山下・堀北の3人が揃うところが見たいと願わずにはいられない。

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