『野ブタ。をプロデュース』にみる時代の変化 いまこそ“異世代”で楽しめる作品に
ところで、本作がいま再放送されることによって面白いのが、リアルタイム世代とともに、今回初めて触れる世代が、時を同じくして観ていることである。先に長々と述べたように、初めて観る世代にとっては、やはり前時代的なものと感じていたりもするようだ。そういった感想がSNS上を賑わせている。例えばだが、次世代のエンタメ界を担うであろう鈴木福や芦田愛菜は当時観ていないはずだし、森七菜や清原果耶、さらにいえば浜辺美波世代くらいまではリアルタイムでは観ていないのではないだろうか(もちろん、なんらかの方法で視聴している可能性はある)。
新世代の彼ら若者にとっては、ある種“古い”とされる演技表現や学園モノの様式が、かえって“新しい”ものと映っていることもあるかもしれない。ファッションや音楽など、あるサイクルによって流行が再燃してきた例は、これまでにいくつもある。そのようにして、ある者は当時を懐かしみながら、またある者は新鮮な目と耳を持って、こういった作品を共有できるチャンスでもあるのだ。そこからまた、新たな作品が生まれる期待感もあるし、異なる世代がともに楽しめる作品だといえる。“おうち時間”を余儀なくされている現在、多くの方が耐え難いストレスを溜め込んでいることだろう。あらゆる情報が錯綜する中、みなで共有/共闘する必要がある。いまこそ世代も関係なしに、みなで(うちで)踊ろう! アミーゴ!
■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter
■放送情報
『野ブタ。をプロデュース』特別編
日本テレビ系にて放送
第4話:5月2日(土)22:00〜22:54
出演:亀梨和也、山下智久、堀北真希、戸田恵梨香、忌野清志郎ほか
脚本 : 木皿泉
原作 : 『野ブタ。をプロデュース』白岩玄(河出書房新社)
音楽 : 池頼広
チーフプロデューサー : 池田健司
プロデューサー : 河野英裕、能勢荘志
演出 : 岩本仁志、北川敬一、佐久間紀佳
制作協力 : トータルメディアコミュニケーション
制作著作 : 日本テレビ
(c)日本テレビ