藤井流星、神山智洋らが魅せるシンドラ枠新機軸 『正しいロックバンドの作り方』は笑えて泣ける

 シンドラ枠第12弾となる『正しいロックバンドの作り方』(日本テレビ)が、想像以上に“笑って笑ってちょっぴり泣ける”。同作は、4人の若者たちから成るバンド「悲しみの向こう側」が、日本最大級の音楽フェス『電撃ロックフェス』出演を目指すストーリーだ。リーダーでギターボーカルのシズマはジャニーズWEST・藤井流星、就職までの期間限定で参加するドラムのテツ(シズマの弟)はジャニーズWEST・神山智洋、独特の雰囲気を纏う“不思議くん”なベースのオギノは栗原類、底抜けに明るいパーカッションのコバは吉田健悟と、個性豊かなキャラクターを個性豊かな俳優たちが演じている。

 藤井はこれまで数々のドラマに出演してきた、ジャニーズWESTの演技班だ。『レンタル救世主』(日本テレビ系)ではナルシストなヒーロー、『卒業バカメンタリー』(日本テレビ系)では童貞大学生、『黄昏流星群』(フジテレビ系)では婚約者の母と不倫関係に陥る青年と、振り幅が大きい様々な役を演じてきた。そして今回は、熱い男だがビビリでネガティブなバンドマンと、またまたクセの強い役を演じている。素はのんびり天然な藤井だが、そんなクセのある役でも難なくこなし、標準語も抜かりない。表情をコロコロと変え、暑苦しくもおバカなキャラを熱演している。

 神山も藤井と同等の演技経験の持ち主。『チート〜詐欺師の皆さん、ご注意ください〜』(日本テレビ系)に出演した際は、その迫真の演技に高い評価が集まっていた。今回演じるテツは、熱量低めで冷静に見えるが実は打たれ弱い、という今どきの若者。以前、『SHARK』シリーズ(日本テレビ系)でも自信ないバンドマンを演じたが、それともひと味違うリアルな大学生といったところだ。神山もまた、同作で演技のバリエーションを見せてくれているのではないだろうか。

 こうした藤井と神山の演技が視聴者にも好評で、SNSを見ても「役と合わないと思っていたけど、ぴったり」「演技がうまい」「表情豊か」など好意的な意見が溢れている。だが、今回のシンドラは藤井、神山だけではない。周りの俳優陣の演技も、作風にぴったりなのである。栗原の「とらえどころがない不思議くんだが、発する言葉がウィットに富んでいる人」や、吉田の「底抜けに明るくておバカなムードメーカーだが、根は真っ直ぐな人」の演技は、ややオーバーにデフォルメされており、「こういう人いる」と強く共感できる。そして、第1話で喫茶店で新メンバー候補自身から辞退してもらおう奇策を繰り出すシーンや、第2話で天才カメラマンからの注文にテンポよく答えていくシーンなど、藤井と神山を加えたバンドメンバー4人のかけ合いも絶妙にマッチしていて気持ちがいい。そのほかにもゲスト出演のシソンヌ・じろうと川面千晶の振り切った演技も、ストーリーの大きなスパイスとなっていた。

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