『BNA』獣人を通して人間社会の闇を活写 みちるの決意はキャッチコピーに通じる

 『BNA』は獣人を通して私たちの生きる人間社会の闇を比喩的に描こうとしている。力のある者が街を支配し、無い者は生きづらさを強いられる。アニマシティには男尊女卑の側面があり、現状ではどうにもできないことも同じように描かれ、本作は第2話時点で非常にメッセージ性のある物語としての頭角を見せ始めてきている。

 主人公・みちるは第2話のラストで、自分が獣人になってしまった理由を突き止めたらすぐにでも街を出ていく意志を見せた。彼女が今の姿になってしまったワケを探る道筋の上に、アニマシティの現状を打破する出来事は起こりえることは本作のキャッチコピー「私は変わる、世界を変える。」からして確かだといえる。

 ともなれば、第2話以降の彼女の動向にますます注目しなけらばならない。対立してしまった士郎とみちるの今後はどうなるのか、みちるの成長と街の変化はどのように並行して描かれるのか。希望を携えて向かった先に思い描いていたものとの違いを見てしまった主人公が、持ち前の前進力とどんな困難にも立ち向かう不屈の精神でひた走るのを今後もしっかりと追いかけていきたい。

■安藤エヌ
日本大学芸術学部文芸学科卒。文芸、音楽、映画など幅広いジャンルで執筆するライター。WEB編集を経て、現在は音楽情報メディアrockin’onなどへの寄稿を行っている。ライターのかたわら、自身での小説創作も手掛ける。

■放送情報
『BNA ビー・エヌ・エー』
フジテレビほかにて、毎週水曜24:55~25:25から順次放送
Netflixにて1話~6話独占先行配信中
声の出演:諸星すみれ、細谷佳正、長縄まりあ、石川界人、高島雅羅、村瀬迪与、乃村健次、中博史、家中宏、斉藤貴美子、多田野曜平、大塚芳忠
監督:吉成曜
シリーズ構成:中島かずき
コンセプトアート:Genice Chan
キャラクターデザイン:芳垣祐介
総作画監督:竹田直樹
美術監督:野村正信
色彩設計:垣田由紀子
撮影監督:設楽希
編集:坪根健太郎
音楽:mabanua
アニメーション制作:TRIGGER
(c)2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会

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