朝ドラ『エール』の恋路は文通で描かれる 現代には起こりえないロマンチックな展開に反響
音は裕一の書いた受賞曲のタイトル「竹取物語」が、幼い頃、父を亡くした時期に演じた思い出の演目でもあることから、裕一に運命を感じていた。それが如実に表れていたのが、音がかぐや姫を演じた当時の出来事を話しつつ、家族に対して興奮した様子で裕一の快挙を語るシーンである。ちくわを食べながら威勢良く話したり、ファンレターを書くと決めたらすぐ行動に移す音は、裕一の繊細さと比べ、パワフルで潔い。第1話で見せた夫婦の関係を予感させるようなキャラクターの対比に思わず顔をほころばせてしまう。
同じように窪田も音からの手紙で一喜一憂し、自身の留学のことと同じくらい音のことを大切に考えている。窪田はそんな裕一を弾けるような笑顔や、切ない瞳でみずみずしく演じた。その姿は恋に夢中になる若い青年の姿そのもの。現在31歳である窪田だが、青年期の裕一を演じても違和感を感じさせないほどフレッシュな魅力を放っていた。志津から手痛い振られ方をしていた裕一も、新たな運命の出会いに心躍らせる。
次週はいよいよ2人が対面してデートをするシーンが描かれる。その一方で、光子(薬師丸ひろ子)が音に、裕一から身を引いた方が良いと告げるシーンもあった。2人はこの局面をどう乗り越えるのか。2人の恋路に“エール”を送りたい。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/