有村架純と是枝裕和が初タッグ! 完成したのは“古き良きホームドラマ”!?

 ただ、第1話は古き良きホームドラマのフォーマットで描かれる親子の物語。一見、仲が良さそうに見えても、娘と母の間柄というものは複雑だ。母ひとり娘ひとりで暮らしてきたなら、なおさら。同性の親子だから相手の行動パターンはよくわかるのだが、よくわかるがゆえについ口を出してしまうこともある。スターである“有村架純”が母親の前では、ちょっと意地悪だったり子供っぽく拗ねたりする。そんな描写が新鮮で、母親にしか見せない顔をよく捉えている。一場面にあるが、母親から子供扱いされてムキになり、つい母の弱点を突くようなことを言ってしまうのは、娘の立場なら「あるある」と共感できる流れではないだろうか。是枝監督のシンプルかつ丁寧な描写と、有村の「端正な演技」は自然になじんで、メタフィクションということも忘れさせ、人間ドラマに集中させてくれる。

 そして、是枝監督にとっては、『万引き家族』の後フランスで撮影した映画『真実』に続いて、特殊な母親と娘の関係を描き出したことになる。このテーマが今、監督の追っているものなのかもしれない。

 また、有村と母がロールキャベツのような“ロール白菜”を作るシーンも印象的だ。是枝監督がこれまで描いてきた料理の場面、例えば『そして父になる』で真木よう子演じる母親が作っていた山盛りの餃子、『海街dairy』で綾瀬はるか演じる長女が作っていた天ぷらそばを思い出す。それは高級マンション備え付けのアイランドキッチンなどではなく、昔ながらの庶民的な台所のガスコンロで作られる“お母さんの味”。「お母さんの料理はぜんぶおいしいから」という有村のセリフもあり、是枝作品における家庭料理は、ささやかで実は得難い幸福というものを象徴しているように見える。

 第2話以降は、ぶっとんだ設定も、有村の“キャラ変”もありになってくるので、第1話のリアル路線はいいイントロダクションになりそうだ。もう1エピソード、是枝監督が監督した第3話や、今泉力哉、山岸聖太、横浜聡子、津野愛が演出する他のエピソードでは、有村のまたちがう顔が楽しめる。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
『WOWOWオリジナルドラマ 有村架純の撮休』
WOWOWプライムにて、3月20日(金・祝)スタート 毎週金曜深夜0:00〜放送(全8話)
※第1話無料放送 ※初回15分拡大
WOWOWメンバーズオンデマンドでは、各話終了後見逃し配信
TSUTAYAプレミアムでは、各話終了後配信スタート
出演:有村架純、柳楽優弥、満島真之介、伊藤沙莉、渡辺大知、笠松将、前野健太、リリー・フランキー、風吹ジュンほか
監督:是枝裕和、今泉力哉、山岸聖太、横浜聡子、津野愛
脚本:今泉力哉、砂田麻美、篠原誠、ペヤンヌマキ、ふじきみつ彦、三浦直之、津野愛、比嘉さくら
音楽:七尾旅人
主題歌:竹内アンナ「RIDE ON WEEKEND」(テイチクエンタテインメント・インペリアルレコード)
制作協力:ホリプロ
製作:「有村架純の撮休」製作委員会
(c)「有村架純の撮休」製作委員会
公式サイト:http://www.wowow.co.jp/drama/satsukyu/

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