『スカーレット』喜美子×三津の対照的な“熱くなる瞬間” 穴窯は川原家に何をもたらす?

 『スカーレット』(NHK総合)第16週「熱くなる瞬間」では、かわはら工房に穴窯が完成する。思い立ってから半年にして、ようやく出来上がった穴窯は、喜美子(戸田恵梨香)が焼き物の欠片の色を出したいという思いから造られた。完成した後の蒔き代を含め、巨額の資金を支えるのは八郎(松下洸平)の和食器セットの売上金。かつての喜美子と八郎の関係性とは、まるで逆転している。第1週「はじめまして信楽」の幕開けで、燃え上がる穴窯に蒔きをくべる喜美子にようやく追いついたという見方もできるだろう。

 穴窯での作業は電気釜と比べて、体力もいる。3日間、昼夜火種を消さずに1200度まで温めていかないといけないのだ。それを一人でやろうとする喜美子。さすがに無茶だと八郎が説得し、2人は5時間おきに仮眠を取りながら交代をすることに。3日が過ぎ、4日目、5日目の朝を迎えても穴窯は一向に1200度には達しない。

 何がいけないのか、残る蒔きは僅か。八郎にすがろうと工房に向かう喜美子は、机に突っ伏して眠る八郎にもたれて眠る三津(黒島結菜)を目撃してしまう。動揺して窯に戻る喜美子。その後、目を覚ました三津は八郎の寝顔を見つめ、ゆっくりと顔を近づけていく。一方の喜美子が見つめるのは窯の炎。先ほどの光景を忘れ去るように。なんとも対照的な2人の“熱くなる瞬間”だ。

 「私のこと女だと思ってたんですか?」「大丈夫じゃないかも。5泊もいたら先生のこと襲っちゃうかも」と冗談交じりに八郎へと話していた三津の態度は、第16週から明らかに変化していく。その変わりように八郎も「松永さんなんか感じ変わった」「ずうずうしかった」と指摘する。その日は三津の24歳の誕生日。何か言いたげな三津は、コーヒーカップの作り方を教わるチャンスを断ってまで、銀座の個展での話が聞きたかった。八郎は喜美子には銀座の個展から大阪を巡った話を、一日の終わりの夫婦の時間にしている。そこで話した和食器セット、団地の話はそもそも三津との会話の中から生まれた発想、行動だった。腰を下ろして話そうとする八郎に、三津は「えっ! え……お話してくれるんですか?」と喜びに満ちた表情。今はただ、八郎と一緒にいる時間が愛おしいとその顔には書いてある。

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