『麒麟がくる』大暴れする長谷川博己は必見! 若きヒーローはいかにして“明智光秀”になるのか

 アクシデントにより予定より2週間遅れての第一話放送で、いやがおうにも期待が膨らむ大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK総合)。

 結果、期待以上に面白かった。第一話は通常45分より大幅に拡大しての75分、内容は盛りだくさんなうえ、スケールも大きく、時間を忘れて見入ってしまった。

 「本能寺の変」で織田信長を討ったと言われる明智光秀(長谷川博己)の知られざる青春時代から描き、戦乱の時代、若き明智光秀が何を見て何を思い、どんなふうに成長し、人間形成されていったか描く物語は、明智十兵衛光秀が二十歳の頃からはじまる。

 早くに父を亡くし、母・牧(石川さゆり)と叔父・明智光安(西村まさ彦)と美濃で暮らしてきた光秀。血気盛んで、たびたびやってくる野盗を率先して退治している。

 長谷川博己が派手な立ち回りを見せる。16日に行われた初回完成試写会後の会見で、「これまであまり光秀の武の部分が描かれてこなかったが、(実際は)戦ってきた人だから、美濃を守るために戦う姿を描きたいと思った」とチーフ演出家の大原拓は言い、一話には、長谷川博己といえば、『シン・ゴジラ』や『まんぷく』、大河ドラマ『八重の桜』などで演じた役によって頭脳派という印象があるが、それを覆すような殺陣シーンが用意されている。

 「人を斬るとき、実際はわからないが、僕の場合は息を止めるんです。斬って斬って敵を追いかけていくので息ができず酸欠状態になってしまった」と第一話の撮影を振り返った長谷川。広大な農地を斬りながら駆け抜けていくシーンをカメラを止めずに撮影したそうで、「ドラマではカットされていますが、(止めずに撮ったことを)ここで言えてよかった」とアピールしていた。

 そうは言っても頭脳派の面も健在。主君・斎藤道三(本木雅弘)に野盗対策のために旅に出たいと嘆願に行くときは、頭の良さそうな表情と語りで見せる。二十歳にしてはかなり成熟した雰囲気なのは否めないが、『真田丸』の堺雅人が15歳の少年時代を演じたこともあるので、大河ドラマあるあるとして楽しみたい。

 それにちゃんと、父代わりの光安、権謀術数に長けた武将・道三、戦国三大梟雄のひとり松永久秀(吉田鋼太郎)、京都で出会う医師・望月東庵(堺正章)などがデーンと構えて光秀を圧倒するので、光秀が初々しく見える。

 しょっぱなから大暴れする長谷川博己の光秀は若き正義感に溢れたヒーロー(の卵)という雰囲気。美濃を守るため、琵琶湖を渡って堺から京都へと旅に出る、その最中、貧しく苦しむ人達の姿を目撃。とりわけ京都は度重なる戦(応仁の乱)で都は衰退していた。そこで出会ったのが、医師・東庵とその助手・駒(門脇麦)。そしてそこで事件が起こり、光秀が大活躍。誰もが安心して見られる構成になっている。

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