2019年の年間ベスト企画

年末企画:加藤よしきの「2019年 年間ベスト映画TOP10」 歴史の生き証人になれた感覚

 こうした思い出がいっぱいの作品を押さえて、個人的に一番気に入ったのが『イップ・マン外伝 マスターZ』。実在した武術家・葉問(イップ・マン)の伝記映画に登場する、架空の人が主役のスピンオフ作品です。これが功夫映画の巨頭ユエン・ウーピン最高傑作と言っていいほど、アクロバティックで美しくも激しい格闘シーンのつるべ打ち。格闘映画ファンとして、たまりませんでした。それに架空の人物の伝記映画って、冷静に考えたら凄くないですか? 『三国志』の架空の武将(周倉とか)や、日本でも武蔵坊弁慶の伝説がどこまで本当か分からないみたいな話もあります。けれど、21世紀に同じレベルのことが起きるとは……歴史の生き証人になれた感覚を生まれて初めて味わったので、これを1位にさせていただきました。こうした香港映画的なザックリしたマインドを大事にして、2020年も生きていきたいと思います。

TOP10で取り上げた作品のレビュー/コラム

マックス・チャンのアクションが凄まじい! 『イップ・マン外伝 マスターZ』は超王道の娯楽活劇に
『HiGH&LOW』は「もっとEXILEになれる」場所!? 山田裕貴、志尊淳、川村壱馬らの情熱と工夫
『アベンジャーズ/エンドゲーム』は胸を張れる超大作に “ヒーローも人”というMCUのスタンス
まさにエンターテインメントの満漢全席! テンコ盛りだけど分かりやすい『アクアマン』の面白さ
『ロケットマン』は観客に体験させる映画!? “フィクション”と“映画”ならではの面白さ
『シャザム!』は笑いあり涙ありのホームドラマに その魅力はスケールの小ささにあり!?
ジャッキー・チェンはいつだって“何か”を仕掛けてくる! 『ザ・フォーリナー』は新たな代表作に
『ハンターキラー 潜航せよ』成功のカギはブチギレ俳優2人のキャスティング!? その頑強な魅力に迫る

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■リリース情報
『イップ・マン外伝 マスターZ』
Blu-ray&DVD発売中
Blu-ray:4,700円(税別)
DVD:3,980円(税別)
キャスト(声の出演):マックス・チャン(柳田淳一)、デイヴ・バウティスタ(楠大典)、ミシェル・ヨー(高島雅羅)、リウ・イエン(森永麻衣子)、ケビン・チェン(関口雄吾)、パトリック・タム(水越健)、クリッシー・チャウ(今井麻夏)、トニー・ジャー
監督:ユエン・ウーピン
製作:ドニー・イェン、レイモンド・ウォン
脚本:エドモンド・ウォン、チャン・タイリー
発売・販売:ツイン
2018年/香港・中国/本編108分/スコープサイズ/英題:Master Z : The Ip Man Legacy/原題:葉問外傳:張天志
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