『G線上のあなたと私』波瑠を救った中川大志の言葉 “ゆるくて優しい世界”から一歩踏み出した2人

大人こそ必要な、幸せに生きる練習

 「大丈夫」と言ってもらうだけで、救われることがある。私たちはいつだって言葉によって傷つき、言葉によって救われる。だが、大人になるほど言葉をちゃんと話しているような錯覚に陥ってしまうことがある。「長年一緒にいたら言わなくてもわかるはず」や「そんなことを言い合う年齢じゃない」などと、ないがしろにしてはいけないのだ。特に、人生を共に歩みたい相手には。

 なぜなら、人を大事にするということは、意識したところで急にできるようになるものではないから。相手の呼吸に耳をすませなければ会話のリズムもずれる。自分の発する本音がひどい言葉になっていないかをチェックしなければ、不協和音が鳴り響く。お互いを尊重して、見つめ合って、調整しながら、ようやく心地良いハーモニーが生まれる。

 也映子たちが、そして私たち視聴者が、大人のバイオリン教室で学んだのは“幸せになることだって練習が必要だ“ということだったのかもしれない。それはむしろ、いろいろと頭でっかちになってしまった大人たちにこそ必要な練習。同時に、いつだって、誰だって「これから」の人になれるのだということも。ときには少女のように泣いてもいいし、少年のようにまっすぐぶつかっていい。できないことができるようになる喜びを忘れないこと。そして、たとえできるようにならなくてもできたらいいなという希望を持ち続けること。それが今の“好き“をとにかく大事に生きていくことに繋がるのだと、教えてくれたドラマだった。

(文=佐藤結衣)

■放送情報
火曜ドラマ『G線上のあなたと私』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:波瑠、中川大志、松下由樹、桜井ユキ、鈴木伸之、滝沢カレンほか
原作:いくえみ綾『G線上のあなたと私』コミックス全4巻(集英社マーガレットコミックス刊)
脚本:安達奈緒子
演出:金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:佐藤敦司
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gsenjou/

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