木村拓哉は玉森裕太と“三つ星”の両方を獲得できるのか? 『グランメゾン東京』いよいよクライマックスへ

 同じ頃、祥平はリンダに自身が犯人であることを伝えていた。動かぬ証拠を手にしたリンダは、フランス大使館のベルナール(マイケル富岡)に通報し、祥平はgakuを去ることに。アレルギー事件の犯人を突き止めたリンダは、真相を特集記事にして公表しようと画策する。第5話でリンダの記事がきっかけでグランメゾン東京は風評被害に見舞われたように、自身の顔に泥を塗った犯人をリンダは決して許さない。祥平をかばって黙っていた尾花も例外ではない。「彼(祥平)は二度と第一線に戻って来られなくなる」と告げるリンダに、「もしうちで拾ったら」と問いかける尾花。リンダの答えは「グランメゾン東京には一生星が付かないようにしてあげる」。それを聞いた尾花は祥平の元へ向かう。

 『グランメゾン東京』でクセの強い料理人として描かれる尾花だが、自身の感情を表に出す場面は多くない。一人涙を流す回想シーンもあったが、料理のことしか考えていないように見えるのは、裏を返せば、たいていのことは胸にしまい込んでいるからと言える。むしろ尾花の人物像は、倫子(鈴木京香)や京野(沢村一樹)、相沢(及川光博)たち仲間の言動から浮かび上がってくる部分が大きい。第9話でも、倫子に「あんたのバロメーターって、全部料理か味だよね」と言われていた。そんな尾花だが、ラストシーンで祥平にかけた言葉は心の叫びそのものであり、魂が震えるようだった。

 ミシュランの星は料理とサービスへの評価だが、その裏には料理人同士の駆け引きや様々な思惑が交差している。グルメの分野に影響力を持つリンダや金にものを言わせる江藤(手塚とおる)のような人物もいて、運やタイミングにも左右されることがしっかりと描かれている。三ツ星獲得は味をめぐる最難関の駆け引きを制することを意味するが、食材の特長を生かし、客一人ひとりのために料理する尾花や倫子の姿勢は愚直なまでに正攻法だ。グランメゾン東京は三ツ星に届くのか。その真価がいよいよ試されようとしている。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『グランメゾン東京』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54
出演:木村拓哉、鈴木京香、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、尾上菊之助、及川光博、 沢村一樹
脚本:黒岩勉
プロデュース:伊與田英徳、東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/grandmaisontokyo/

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