『グランメゾン東京』はまさにONE TEAM “一流の”役者・料理・演出を揃える木村拓哉の凄み
日曜劇場『グランメゾン東京』(TBS系、日曜よる9時)は「ONE TEAM」というワードがぴったり来るドラマだ。
天才、二ツ星シェフでありながら不運な事故によってその座を追われた尾花夏樹(木村拓哉)と、一口食べたら食材と調理法がわかってしまう舌をもった早見倫子(鈴木京香)、夏樹が絶対的信頼を寄せるギャルソン京野(沢村一樹)、人気WEB料理研究家・相沢(及川光博)、若きパティシエ・萌絵(吉谷彩子)という料理のオーソリティーが集結し、フレンチレストラン・グランメゾン東京をオープン、まさにONE TEAMで三ツ星を目指す。その熱き闘い。
沢村一樹が木村拓哉のラジオにゲスト出演したとき『アベンジャーズ』に例えていたらしいが、まさにそれ。ほかに黒澤明の『七人の侍』にも例えていて、古今東西、異能の集団がひとつの目標に向かっていく物語はテッパンだ。
最強グランメゾンチームに、ライバル店・gakuのシェフ丹後学(尾上菊之助)が立ちふさがり、パリ時代から因縁ある後輩の平古祥平(玉森裕太/Kis-My-Ft2)もある理由からgakuに入店する。
「グランメゾン東京 VS gaku」が中心軸となり(グランメゾン東京チームとgakuチームが対峙するシーンはちょっと『HiGH&LOW』テイストも感じられた)、そこに信用金庫から融資を得るという現実的な、日曜劇場らしいエピソード(「数字なんです。味はなんの担保にもならない」という銀行員役が春風亭昇太というところも日曜劇場らしい)があったり、尾花が巻き込まれたアレルギー食材混入事件の真相探しがあったり、家族愛があったりと従来の日曜劇場の人気展開を盛り込みながら、“食”という老若男女問わず愛されるテーマに切り込んでいく。
毎回、見た目に麗しく、極うまな設定(テレビだと味はわからないが美味しそうに見える)の料理が出てきて、食欲を刺激しまくり。手長エビのエチェべ、まかない料理クスクス(隠し味にゆず)、ナスと白レバーのプレッセ、鹿肉のロティとコンソメ、鹿肉のタルタル、キャラ弁、モンブランアマファソン、ジロール茸とひもとうがらしのサブレ、ヤギ乳のヴァヴァロア、雲丹のグラティネ、栗とキノコとアッシパルマンティエ、レモンタイムとバターで焼いた骨付きあんこう、鮟肝のポシェ、昆布、味噌のソース、鰆のロースト 水晶文旦のソース、ガレットシャンピニオン、オムライス、ビーフシチュー、牛の胃袋のグリエ……さすがフランス料理、名前も見た目も凝っている。あー食べてみたい。徐々に、オムライスやビーフシチューという親しみある食堂メニューも出てきた。中でも私は、8話で、倫子が作っていたオクラ、ひきわり納豆、針生姜の味噌汁に最も心惹かれた。これなら家でできる! そんな庶民な自分の感性が口惜しい。
ドラマに出てくる豪華料理は、レストラン・カンテサンスで三ツ星を13年維持した岸田周三シェフ、ミシュラン東京2020で二つ星を獲得したINUAのトーマス・フレベルが料理監修を担当していて、これを準備して撮影するだけで大変そう。いい音もついている。食材も高そうだ。